言うのも恐れ多いですが、良いアルバム。
価格の割に、マイルスのモダンジャズを存分に味わえる良盤。
Miles Davis – Volume 1 (Blue Note BLP 1501, 1962年リイシュー)
盤仕様・特徴
- リリース年: 1962年(オリジナルは1956年12インチLP、1952-54年録音)
- レーベル: Blue Note – BLP 1501
- フォーマット: LP, コンピレーション, モノラル, リイシュー
- プレス: Plastylite(両面「P」刻印あり)
- ラベル: New York USAラベル(”INC”/®表記あり)
- ディープグルーヴ: Side 1のみディープグルーヴあり(またはNo DGバージョンも存在)
- ランアウト刻印: 両面「RVG」スタンプ(Rudy Van Gelder手書き刻印)、Plastylite「P」刻印
- カバーデザイン: John Hermansader, Reid Miles
- カバーフォト: Francis Wolff
- ライナーノーツ: Leonard Feather
録音・パーソネル
- 録音日・場所:
- 1952年5月9日, WOR Studios, NYC
- 1953年4月20日, WOR Studios, NYC
- 1954年3月6日, Van Gelder Studio, Hackensack, NJ(このリイシューには未収録)
- 主な参加メンバー:
- Miles Davis – トランペット
- J.J. Johnson – トロンボーン
- Jackie McLean – アルトサックス(A5, B1-B4, B6)
- Jimmy Heath – テナーサックス(A1-A4, A6, B5)
- Gil Coggins – ピアノ
- Percy Heath – ベース(A1-A4, A6, B5)
- Oscar Pettiford – ベース(A5, B1-B4, B6)
- Art Blakey – ドラムス(A1-A4, A6, B5)
- Kenny Clarke – ドラムス(A5, B1-B4, B6)
トラックリスト
- Tempus Fugit (Bud Powell)
- Kelo (J.J. Johnson)
- Enigma (J.J. Johnson)
- Ray’s Idea (Fuller, Brown)
- How Deep Is The Ocean (Irving Berlin)
- C.T.A. (Alternate Master) (Jimmy Heath)
- Dear Old Stockholm (Traditional)
- Chance It (Oscar Pettiford)
- Yesterdays (Kern, Harbach)
- Donna (Alternate Master) (McLean)
- C.T.A. (Jimmy Heath)
- Woody ‘N You (Alternate Master) (Dizzy Gillespie)
この盤のポイント
- 1952年~53年の3つのセッションを12インチLPに再編集した、Blue Note 1500番台初期の重要作。
- 1962年リイシュー盤はNew York USAラベル、Plastylite「P」刻印、RVG刻印付き。
- ディープグルーヴは片面のみ、または両面なしのバリエーションが存在。
- モダンジャズ黎明期のMiles Davisのプレイと、J.J. Johnson、Jackie McLean、Art Blakey、Oscar Pettifordらの名演が収録。
- 内容はハードバップの原型ともいえるエネルギーと洗練が同居し、AllMusicやPenguin Guide to Jazzでも「必聴のハードバップ名盤」として高評価。
まとめ
『Miles Davis – Volume 1』(BLP 1501)は、1952-53年のセッションをまとめたBlue Note初期の重要作。1962年リイシュー盤はNew York USAラベル、Plastylite「P」刻印、RVG刻印が特徴で、ディープグルーヴの有無などバリエーションもコレクターズポイントです。Miles Davisの初期ハードバップを象徴する名演が詰まった、ジャズ史に残るアルバムです。
私の持っている盤、Miles Davis Volume1 BLP1501 new york RVG刻印耳あり
私などがこの盤についてレビューをするなんて、おこがましいのは重々承知しております。
しかし、軽くレビューさせてください。
マイルス・デイヴィスは、当然モダンジャズの重鎮、帝王。
このアルバムが録音されたとされるのが1952年~53年。
まだ、ビバップも盛んな時期だったので、このアルバムもある程度「ビ・バップ色」が残っており、ビバップがあまり好きでない方はこのアルバムはあまり好きではないかもしれません。
事実私も、最初にこのアルバムを手にしたときは、「持ってはいるけどなんとなく触手が伸びないアルバム」ベスト1くらいに入るアルバムでした。
しかも当時持っていたのは、ニューヨークラベルでしたが、手書きRVGだったとき。
(今回レビューしているこの盤はRVG刻印)
にも関わらずあまり触手が伸びませんでした。
なんとなく、カインド・オブ・ブルーのイメージが強い人にとっては敬遠してしまうアルバムかもしれません。
しかし今、あらためて聴いてみると、良い。
確かに、カインド・オブ・ブルーやラウンド・アバウト・ミッドナイトのような「成熟した静けさ」はない。
皆無と言ってもいいのではないでしょうか。
しかしその分、マイルスもバリバリのプレーヤーとして演奏をしています。
村上春樹さんも
ただ、これらのレコードはLPで出てるんですけど、1曲3分ちょっとぐらいで短いんです。なぜかというと、この頃はSPとEPとLPっていう3種類出していました。SPっていうのは3分以上は録音できないので、録音時間が短くなっています。その代わり、その短い間に凝縮されたプレーというのは聴きごたえあります。
村上RADIO - TOKYO FM 80.0MHz - 村上春樹この番組は、村上春樹史上初、自らがディレクターとなりテーマに合わせて選曲し、語ります!
このように語られているように、短い分濃縮されているというメリットがあります。
(だからこそ上記のstan getz playsが欲しくなった)
とにかくそのように語られているように、このアルバム、Miles Davis Volume1 BLP1501も1曲1曲が短い分、マイルスの濃縮したプレーを楽しむことができるというのが最大の魅力でしょう。
逆を言うと、あくまでも私の主観ですが、後期のマイルスは少し曲を「引き伸ばしている」印象を受けます。
Miles Davis Volume1 BLP1501の頃のマイルスは短い演奏時間の中で迸るエネルギーを持って演奏しているように感じます。
言うなれば、溌剌としたマイルスを楽しめるのがこのアルバムです。
往年のスタンダードナンバー中心の演奏で特に、Dear Old Stockholmなんかは感動ものの演奏です。
この盤と出会った経緯
当然、レコードを集めるようになってからこのレコードのことが気になっていました。
いつか買おう、いつか買おうと思ってもなかなか手にできず。
記憶の限りでは、確か一番最初に手に入れたのは、5年くらい前?
の、今はなきディスクユニオンセカンドハンズ店。
ああ、そうそう。
そういえば、まだその当時はコレクターの駆け出しで、
「CD時代に持って気に入ったアルバムをオリジナル盤でほしい」
と思っていた時期。
このときのセールでは、ハービー・ハンコックの処女航海のステレオオリジナルを求めて参戦したものでした。
そのときにコレクターの先輩と初めて話すことができ、
そのときに、たまたま手に入れたのがこのMiles Davis Volume1 BLP1501。
前述のようにその当時手に入れたのは、今回と同じニューヨーク盤(片面NYだった気がする)で、それをコレクターの先輩に見せたら、
「うーん。このアルバム。NY盤じゃねぇ・・・手書きRVG刻印なら音はいいらしいけどね。」
と評されていました。
で、実際に試聴してみると、刻印は手書きだったこともあり購入。
それから家にずっとおいたままほとんど日の目を浴びることはありませんでした。
「なんで聴かなくなったんだろう?」
久しぶりに聞いてみたらその理由が判明。
「あ、結構状態悪い・・・」
なんかあるあるですね。
たいていそんな理由で手放しています。
おそらくたいていそうなのかもしれませんね。
最初に気に入って、気になって購入したにも関わらず、
全くその後聴かなくなってしまうのは状態が悪いからだと感じます。
今回も例に漏れず、周回ノイズがかなり目立って、
「どうしてこんなの持っていたんだろう?」
と後悔し手放しました。
そこからしばらく、このアルバムは持たずにいたんですけど、
やっぱりこのアルバム。
マイルスの初期の名盤、ブルーノートの最初のLPということもあり、
ちょくちょく出品されるのを見かけるときになってしまいます。
しかもブルーノートにしては、オリジナルは例外としても、このアルバム、比較的安価で手に入るのが魅力なんですよね。
こちらのdiscogsでも、販売価格はおよそ1万円前後。
ブルーノートにしては比較的安価ということもあり気になっていました。
で、今回ご紹介しているこのボリューム1。
↑こちらで視聴できます。
正直、いつどうやって手に入れたか余り覚えていません笑
たぶん、なんかのディスクユニオンの中古セールで余っていたのを、オンラインショップで買った気がするんですけど・・・
でも、状態。
良いですよね。
「お!これなぜか残っている!」
と思って、不安ながらもオンラインで購入して、
これだけ状態が良いなら満足。
もちろん、オリジナルのレキシントンと比べたらどうなの?
という音質の部分はわかりませんけど、
私みたいな「セカンドコレクター」にとってはこれで十分。
ノイズも全くといっていいほど気になりません。
で、音も十分。
ちなみに、再度私が手に入れたこの、「Miles Davis Volume1 BLP1501」は残念ながら、RVG刻印。
手書きRVGではありません。
でも耳ありですし、だからなのかわかりませんが、十分良い音をしています。
普通に家で聞く分には十分に楽しめる。
「うーん、やっぱりレキシントンじゃないとね・・・」
とか
「やっぱり手書きRVGのほうが良さそうだ!」
なんてことは微塵も思いません。
むしろこれだけ状態が良く、じっくりと、ノイズを気にせずに演奏に集中できるという面では大満足。
やはり、Miles Davis Volume1 BLP1501のような歴史的に重要なレコードを聞くのであれば、もちろんRVGは必須だけど、それ以外の面は妥協してでも状態の良い盤を選びたいものですね。
少なくとも多少なりともビバップ色が強いからと言って、このアルバムをスルーするのは非常にもったいないです。
状態さえ良ければ、十分にジャズの本質を楽しめるアルバムだと言えます。
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