なるほど、確かに。エリック・ドルフィーの作品の中では一番好きかもしれない。
Eric Dolphy – Outward Bound(Prestige PR 7311, circa 1965年USモノラル Blue Tridentラベル盤/再発)
盤仕様・特徴
- リリース年:オリジナルは1960年、当盤は約1965年以降のモノラル再発盤(ラベル:青地に銀文字、右側にTridentロゴ)
- レーベル・型番:Prestige Records – PR 7311 / PRLP 7311(ジャケット、ラベル表記は複数パターンあり/ジャケット:PR 7311, 裏ジャケ:7311, ラベル:PRLP 7311)
- フォーマット:LP, Album, Mono, Reissue(Blue Tridentラベル/US盤/deadwaxに“RVG”刻印/Prestige Records Inc., 203 S. Washington Ave., Bergenfield, N.J. 表記ラベル)
- ジャケット:表:“PR 7311”表記/裏:”7311”表記(デザインはオリジナル同様)
- レコード会社:Prestige Records Inc.
- マスター・録音エンジニア:Rudy Van Gelder(RVG刻印入り、Van Gelder Studios録音)
- マトリクス・ランアウト:
- サイドA:PR 7311 A NJLP 8236 NJ 8287(エッチング)、RVG(スタンピング)
- サイドB:PR 7311 B NJLP 8236 B NJ 8287B(エッチング)、RVG(スタンピング)
- その他仕様:ラベル面にPrestige Records Inc.なる住所表記あり(Bernfield NJ)、トライデントロゴ有/音源権利はPrestige Music (3)/BMI管理曲あり
パーソネル
- Eric Dolphy – アルト・サックス、フルート、バス・クラリネット
- Freddie Hubbard – トランペット
- Jaki Byard – ピアノ
- George Tucker – ベース
- Roy Haynes – ドラムス
- 録音エンジニア:Rudy Van Gelder
- ライナーノーツ:Robert Levin(1963年8月執筆)
トラックリスト
- G.W.(作曲:Eric Dolphy)
- Green Dolphin Street(作曲:Bronislaw Kaper, Ned Washington)
- Les(作曲:Eric Dolphy)
- 245(作曲:Eric Dolphy)
- Glad To Be Unhappy(作曲:Richard Rodgers)
- Miss Toni(作曲:Charles Greenlee)
録音日:オリジナルは1960年録音、本盤のライナーノーツは1963年8月表記/オリジナルPrestige盤のハードバップ~ポストバップ路線。
この盤特有のポイント・コレクター情報
- 青トライデントラベル盤:1964~71年頃に出回ったPrestige再発モノラル盤の特徴的ラベル。デザイン:青地銀文字(表記右側にトライデントロゴ)、オリジナルは黄花火ラベル仕様。
- ラベル表記およびジャケット型番は複数パターンで、コレクター間で細かく識別される。
- RVG刻印入り(Rudy Van Gelderの現場録音、Prestigeの主要盤の代表的仕様)
- アウトワード・バウンドはDolphy初リーダー作。Hubbard参加盤としても評価が高く、経年再発ラベル間でも音質や希少性が議論される。
まとめ
『Outward Bound』(Prestige PR 7311, circa 1965年 Blue Tridentラベル盤) は、エリック・ドルフィーの初リーダー作の再発盤で、Hard Bop/ Post Bopの代表作の一つ。青トライデントラベルは当時Prestige再発盤の象徴的仕様で、コレクター間でオリジナル盤との差異や流通量・音質などが検討される重要な識別ポイントです。
情報元Discogs URL:
私の持っている盤、Eric Dolphy Outward Bound PR7311 NJLP8236刻印消し USモノラル 右紺 RVG
ようやく手に入れた盤、なのに、やっちまった・・・
入手したのはこのセール。

ここ最近は、ディスクユニオンのセールに参加せずに仕事に没頭。
ただ、やはりレコードは気になるので、セールが終わったあとのディスクユニオンのページを見て、通販で出品が開始されたら本当に気になるもののみ購入するようにしています。
まぁ、いわゆる「売れ残り」ではあるんですけど、それでもその中には結構お宝もあり、最近ではレコード購入者も減っているのか、意外と、良い盤、名盤が残っていて通販で出品されたりします。
あるいは、多くのコレクターがもう「集め終わってしまったもの」なので、こうした私みたいな後発コレクターにもチャンスが巡ってくるのかもしれません。
そんな中で、diskunion jazz tokyoのセールで目をつけていた、eric dolpy outward boundの右紺、RVGのモノラル盤。
実は結構、ステレオRVG盤だったら、ディスクユニオンでも結構現在通販で出品されています。
しかし、正直な話をすると、エリック・ドルフィーはそこまで「すごい好き」というわけでもないので、RVG刻印版とはいえ、ステレオで(厳密にはモノラルで聞こえてくるんですけど)しかも4,000円を超えると一気に買う気がしなくなる。
ということで、これまで購入を見送っていました。
「どうせ買うなら、モノラルのRVG再発盤がほしいな」
と思っていたのですが、これがなかなか巡り会えず。
不思議なことに、このeric dolpyのoutward boundの右紺RVG再発の「モノラル盤」はあまり市場に出回りません。
それだけ人気ということなんでしょうか。
一度だけ、2年くらい前かな?ディスクユニオン吉祥寺店のセールで出品されて、「ほしいな」と思い、ちょうど近くまで寄ったこともあり、店舗に向かったのですが、タッチの差で別の人に取られてしまっていました。
悔しい・・・
それから2年ほど。
まぁ、毎回クマなくこのeric dolphyのoutward boundを探していたわけではないので、見落としていただけかもしれませんが、出会えませんでした。
そんな中、ようやく手に入れられたモノラル再発RVG盤。
正直、繰り返しになりますが、ドルフィーはそれほど好きではないのに、なぜそんなに目をつけていたか?
cottonclubさんの影響は大いにあると思います。
この初リーダー盤にドルフィーの魅力は凝縮している。ドルフィーで何か1枚だけ選べ、質問されたら悩むだろうけどコレを選ぶと思う。
『Outward Bound』Eric Dolphy, Outward Bound(NewJazz NJLP8236)ドルフィーのレコードはジャズを聴き始めた最初の頃に購入したので大半が再…
『初リーダー盤というのは“買い”』というのが、師匠の持論だった。
初めてリーダーとして録音に臨むとき、音楽家は気合が入った最高の演奏をするから、初リーダー盤には傑作が多いというのが師匠の教えだった。
(中略)
RVGの真骨頂はモノラルなので、ドルフィー入魂の演奏を一番楽しめるのは、RVG刻印ありのモノラルだと思います。
『ドルフィーのOutward Boundには、彼の魅力が詰まっている。』『初リーダー盤というのは“買い”』というのが、師匠の持論だった。 初めてリーダーとして録音に臨むとき、音楽家は気合が入った最高の演奏をするから、初リーダー盤に…
ここまで書かれたら、そりゃあ、欲しくなってしまいますよね。
dolpyのoutward bound。
加えて、新宿ジャズ談義でも、
音色やソロという楽器の演奏そのものがぶっ飛んでいるので、色あせることがない。フレディのトランペットもいい具合に適合している。(hand)
(中略)
ドルフィの初リーダー盤だが、ソロのスタイルは完成形。ブラウニーより年上の彼はすでにベテラン。彼のいろいろな要素が全部コンパクトに詰まっている濃縮された傑作。
(中略)
荒々しいドルフィーと繊細なドルフィーを感じることのできる盤。
(中略)
ドルフィーとの2管のユニゾンがとても美しい。またglad to unhappyのフルートのドルフィーも軽やかに飛翔している蝶のようでとても綺麗だ。
Eric Dolphy エリック・ドルフィー リーダー作①東海岸に拠点を移したドルフィーは、初リーダー盤「アウトワード・バウンド」で衝撃的なデビューを飾っただけでなく、巨匠ミンガスの」バンドにも加わり、本格的に活躍する時期に入ります。アルトサックスの音色もオーソドックスなものから特異なものに変わり...
ここまで書かれていたら、そりゃあ、レコードコレクター(いくらセカンドコレクターといっても)、なんとかRVGモノラル盤が再発でいいから欲しくて仕方なくなる。
だけど、よくよく見てみたらcottonclubさんのブログ記事で、
Last DateのFontanaステレオ盤が面白かったので他のステレオバージョンを探してみたところ、幸運にもOutward Boundのステレオ、VAN GELDER刻印入りを見つけた。
(中略)
音は予想を超えて素晴らしかった。モノ盤を超えているかもしれない。RVG独特のエコーがずっと薄くなっていて、それぞれの楽器がクリアに響き立体感がある。時にFreddy Hubbardの音が良くなった。tpとaltoのきれいなハーモニーはモノ盤にはない世界だ。やや真ん中が薄い気もするが、それはドラムがセンターにいないためで、モノに慣れている耳には違和感があるからだろう。245という曲なんか、断然ステレオがいい。ステレオは一聴の価値があると感じた。
やっちまった内容
で、話が、長くなりましたが、というか前置きが長くなりましたがやっちまった内容。
実はここ最近、忙しかったこともあり、他に熱中していたこともあり、一週間くらい、まともにジャズレコードを聞けていませんでした。
で、昨日。
久しぶりにじっくり耳を傾けて聞こうとしたのがこのeric dolpyのoutward bound。
片面を聴いて、
「うーん。いいね。たしかに良い。少しだけ、フリー気味な感じも出るけど、良い。」
と思って、レコードをひっくり返そうとした時、センターの穴が狭かったからなのか、レコードを引っこ抜いて、盤面をひっくり返すタイミングにセンターのポール?に引っかかってしまって、レコードを床に落としそうになってしまいました。
「うわぁ!」
と大きな声を上げて、なんとか床に落とすのは防ぐことができたものの、盤をプレーヤーの端っこにぶつけてしまいました。
「うわ、やっちまった・・・」
と、恐る恐る、盤面を見てみたら、A面の1曲目に5cmくらいの縦キズと3曲目に1cm大の擦れたあとができていました。
やっちまった・・・
最悪。
5分、10分くらいちょっと茫然自失となってしまいました。
しかし気を取り直して、実際に傷ができた部分をかけてみると・・・
幸い、キズは表面にとどまっているようで、ほとんど音には出てきませんでした。
ただ、A面3曲目の1cm大のスレたキズは2~3回ほど、うっすらとシュッと音が出てきます。
うーん、残念。
少なくとも、仮に「手放すこと」になったとしたら、大きなマイナスになるであろうキズたち。
うーん、残念。
しかしまぁ、正直、ここまで書いているようにエリックドルフィーはそこまで「すごい好き」というわけではない上、まぁ、購入した金額も3,850円と、でかいといえばでかいものの、そこまで大ダメージの金額ではないので、それだけが不幸中の幸いかなと感じます。
これが1万円超えのレコードだったり、リー・モーガンだったり、ハンク・モブレーだったり、ソニー・クラークだったり、お気に入りのレコードだったりしたら、そのショックは計り知れないものでした。
しかし、比較的安価で手に入れた、すごいお気に入りというレコードではなかった上、あまり音には出ないキズだったので、それが不幸中の幸い。
大反省・・・
しかし大反省。
これまで、レコードを買うときに、目立つ傷とかがあり、そういうのを見たときに、
「どうしてこんな傷ができるんだ?」
と疑問で仕方なかったのですが、なるほど。
こういうのでできるんですね。
レコードを落としたりすると。
いやぁ、反省。
正直、少しこのキズ、手放したいレベルの見た目のキズですが、
今後の自分への戒めとしてこのレコードは持ち続けようと思います。
本当に反省。
で、実際に聞いてみてどうなのよ?
で、実際に聞いてみての感想。
まぁ、正直。
A面を聴いているときは少しバタバタしてあまり集中して聞けていなかったのと、
B面は、レコードを落っことしてしまった精神的ダメージで集中して鑑賞できていなかったので、その前提での感想となりますが・・・
たしかに良いです。
ちょっとどうしても、エリック・ドルフィーはなぜかフリージャズ気味の要素?が入ってくるので、好みが分かれる部分はやはりありそうですが、エリックドルフィーの作品の中では一番「ジャズらしい作品」だと思います。
フレディー・ハバードも良い。
吹きすぎず、美しく演奏を奏でてくれます。
中でも、最終曲、
Miss Toni
でのフレディー・ハバードの演奏はとても美しく感じます。
全体的にとても素晴らしい出来。
確かにエリックドルフィーの魅力がぎゅっと凝縮された盤というのもよくわかります。
エリック・ドルフィーのフリージャズ的な感じがどうしても好きになれない!という方にもおすすめできる名盤だと感じます。
中でも、Glad To Be Unhappyはエリック・ドルフィー渾身の美しい名演。
儚く短い人生を美しく奏でるかのような、つい涙したくなるような名演です。
正直、このアルバム。
購入検討のため、何度もYou Tubeで聴いていたのですが、それほどグッとは来ませんでした。
やっぱり、レコードで、ちょくで聴いてみないとその魅力は本当にはわからないものですね。
あらためてレコードで聞いてみるとその良さが伝わります。
しかし、このアルバム、エリック・ドルフィーに限った話ではないんですけど・・・
正直、同じアルバムの中で複数の楽器を奏でるメリットがわからない。
アルトならアルト。フルートならフルオート。バスクラリネットならバスクラリネットで一つの楽器に集中してもらいたいと、私みたいな素人は考えてしまいます。
きっと、プロのコレクターやリスナー、演奏者には、
「いや、こうして複数の楽器を演奏しているからこそ楽しいんだよ。」
などと、叱られてしまうかもしれませんが、個人的には、アルトならアルトで定めてやれば、もっと一本の軸みたいのが強まるんじゃないかと、素人が勝手な意見を書いたりしています。
でも、全体的に確かに素晴らしいレコードです。
音質はさすがです。
もうこのブログでは何度も書いていますが、
【モブレーが大きい?】Jackie McLean 4, 5 & 6 NJLP8279 USモノラル盤 Deep Groove仕様 両面手書きRVG PRLP7048刻印消し
刻印消しには以下の意味があるようです。
dead waxにある刻印の部分を見ると、元にあったはずの記号PRLP7098が、エンピツで塗りつぶすように消されて、その外側にNJLP8227が手書きで入れられています。
(中略)
オリジナルのPrestige盤のマザーディスクが使い回されているので、セカンドのNew Jazz盤もオリジナルと同じ音がするはずだ、ということでした。
『Ray Bryant』Ray Bryant Trio(New Jazz NJLP8227)12inchNew Jazzのレイ・ブライアント?ヘンですよね。オリジナルはPrestig…
このように、刻印消しは「理論上」はオリジナル盤と同じ音がするらしいです。
もちろん、この盤のオリジナル盤を持っているわけではないので、直接比較できるわけではありませんが、たしかに良い音です。
エリック・ドルフィーたちの迫りくる演奏が強い音圧とともに耳に入り込んできます。
モノラルは圧倒的な迫力で、これぞRVGの音
『ドルフィーのOutward Boundには、彼の魅力が詰まっている。』『初リーダー盤というのは“買い”』というのが、師匠の持論だった。 初めてリーダーとして録音に臨むとき、音楽家は気合が入った最高の演奏をするから、初リーダー盤に…
というのが、繰り返しになりますが、オリジナル盤を持っているわけではないので直接比較はできませんが、十分堪能できる音質です。
やはり個人的には、まぁ、本当にすごく気に入っているアルバムならともかく、基本的には、この盤に関しても、セカンドやサードでも、RVG刻印があり、その上「オリジナルのスタンパー刻印消し(今回で言うとNJLP8236)」がおすすめです。
しかし、今改めて、聴き直していますが、Green Dolphin Streetもとても良い曲です。
なるほど、ドルフィーの魅力が伝わります。
でもこの曲、なんでバスクラリネットで吹いたのかな・・・
私みたいな素人にはそうした天才方の考えることがわかりません。

ちなみに、もう一枚、私が持っているエリック・ドルフィーのレコードはこちら。
【名盤?迷盤?すこぶる良い音】Eric Dolphy Out To Lunch! BST84163 黒オンプ vangelder刻印
内容は正直、まだ私のような無知な人間には理解が及ばないのですが、音が良いので、持ち続けています。
こちらの、out to lunchに比べると、outward boundはすごくわかりやすいアルバムです。とっつきやすいアルバムと言えます。







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