i should careが、至極の名曲。
Hank Mobley – Hank Mobley’s Second Message(Prestige PR 7667, 1969年USモノラルリイシュー盤/Jazz Classics Series)
盤仕様・特徴
- リリース年:1969年(オリジナル録音:1956年7月27日、ニュージャージー州ハッケンサックVan Gelder Studio)
- レーベル:Prestige – PR 7667, PRST 7667(Jazz Classics Series/モノラルリイシュー盤/青トライデント・ラベル)
- フォーマット:LP, Album, Reissue, Remastered, Mono(フロントカバーにはElectronically remastered for STEREO表記あり。実際はVan Gelderカッティングによるモノラル盤)
- ジャケット:一部エッジウェアあり。Plain white inner付属ケースも流通(個体差)
- マトリクス・ランアウト:
- Side A: PRST 7667 A VAN GELDER
- Side B: PRST 7667 B VAN GELDER
- 録音エンジニア:Rudy Van Gelder
- 監修:Bob Weinstock
- デザイン:Don Schlitten
パーソネル
- Hank Mobley – テナーサックス
- Kenny Dorham – トランペット
- Walter Bishop, Jr. – ピアノ
- Doug Watkins – ベース
- Art Taylor – ドラムス
トラックリスト
- These Are The Things I Love – 7:32
- Message From The Border – 5:53
- Xlento – 5:28
- The Latest – 5:48
- I Should Care – 9:45
- Crazeology – 6:46
録音:1956年7月27日、Van Gelder Studio, Hackensack, NJ
一部曲の作曲:Barlow, Harris(A1)、Cahn, Stordahl, Weston(B2)、Benny Harris(B3)
この盤特有のポイント・コレクター情報
- 青トライデント・ラベル仕様は1960年代Prestige再発を示す特徴。モノラルながらステレオ表記がジャケットにある点は誤記ながら、盤自体はVan Gelderエンジニアリングによる原盤リマスタリング。
- オリジナルはPrestige PRLP 7082(1957年)。本盤は1969年Jazz Classics Series再発で、初出から十余年を経てハードバップ期Mobleyのリーダー作を高音質化再発。
- 録音は25歳のMobleyによるハードバップ黄金期。Messengers卒業直後で、Dorham・Watkins・Taylorは同時期PrestigeやSavoyの人気盤にも参加した顔ぶれ。
- Van Gelder Studio録音の硬質な質感と、Mobleyの「ミディアムウェイト」らしさが際立つ一枚。1956年7月は数多くの「Message」シリーズ録音が連続している。
まとめ
『Hank Mobley’s Second Message』(Prestige PR 7667, 1969年モノラル再発盤) は、ハンク・モブレーによる1956年の代表的ハードバップ・セッションをリイシューで堪能できるコレクターズアイテム。ドリアン、テイラー、ビショップらによる躍動感あふれる演奏と、Van Gelder Studio録音が本盤の音質的魅力です。
情報元Discogs URL:
私の持っている盤、Hank Mobley Hank Mobley’s Second Message PRST7667 van gelder
ジャズレコードコレクターだったら、誰もが?喉から手が出るほど欲しくなる名盤・・・のセカンドバージョンです。
当然、私は「セカンドコレクター」なので、オリジナルには興味がない。
もちろん、オリジナルが格安で手に入るならほしくないわけではないですが、少なくともこのセカンドバージョンで十分に感じます。
このアルバムを手に入れたのは今年だったか、去年だったか・・・
少し記憶が曖昧です。
私は基本、レコードを買うときはセールで手に入れるときもあれば、なんとなくディスクユニオンのオンラインショップを覗いていて、
「お、これは!」と思うのがあったら購入するタイプ。
このアルバムは後者。
ディスクユニオンのオンラインショップを漁っていたら、
「お!」
と思い、購入。
価格は確か、3000円後半。
オリジナルの相場、3~5万円以上から考えると遥かに安いですが、
今考えれば、まぁ、こんなもんでしょう。
このセカンドバージョン。
ちなみに話は脱線しますが、discogsの情報を見ると、
Hank Mobley Quintet* ? Mobley’s 2nd Message
The Hank Mobley Quintet – Mobley’s 2nd Message アルバムカバー画像をもっと見る
レーベル:
Prestige ? PRLP 7082
フォーマット:レコード, LP, Album, Mono
https://www.discogs.com/ja/release/5502291-Hank-Mobley-Quintet-Mobleys-2nd-Message
と、「mono」と書かれています。
しかし、ジャケットに、
「Electronically remastered for STEREO」
と書かれていますし、レーベルにモstereoの文字が大々的にあります。
何よりも決定的なのが、ランアウトに「PRST7667」の刻印があるため、基本これは、「ステレオ」と考えていいでしょう。
ただし、あくまでも「装置として聴くのはステレオがいい」というだけであって、実際に流れてくる音楽は「モノラル」で流れてきます。
上記はステレオカートリッジで録音したものです。
完全にモノラルで流れてきますね。
たぶんですけど、それがあって、「モノラル」とdiscogsでは表記されているんだと思います。
実際このような意見も。
モノラル・カートリッジでの端正な音も良かったが、ステレオ・カートリッジに変えると、驚いたことにトランペットとドラムが前に迫り出して立体的に。昔のコロンビア盤での左右で高音・低音が泣き分かれ、のような悲惨なこともない。僅かに高音が右に寄ったような気がするが気にならない。それがスパイスのように立体感を醸している。
https://dailymusiclog.hatenablog.com/entry/2023/10/14/100328
別のアルバムですが、基本的に同じと考えていいでしょう。
基本的に私のこれまでの集めてきた知識と経験では、
「このレコード、レーベルにはステレオと表記されていますけど、PRLP7044と刻印されていますよね?モノラルですか?」
と。で、店員さんは、
「あ、本当ですね。これはモノラルです。」
とのご返答。
やはりこれはモノラルレコードのようです。
【お粗末なレーベルだけどお買い得】Miles Davis Collectors’ Items PRST7044 手書きRVG(PRLP7044刻印)MONO
このように、刻印がモノラルスタンパーでの刻印でない限り、ステレオカートリッジできくようにしています。
まぁ、とにかく。
どちらにしてもオリジナルの10分の1以下の価格で変えるのだから十分お買い得と言えるでしょう。。
肝心の音と演奏は?
今このアルバムを再聴しながら書いていますけど、いいですね。
音は良いです。
おそらく、モノラルにおける「音圧」みたいのはないと言えるのでしょうが、一つ一つの楽器の、「音の鋭さ」みたいのがビシビシ伝わってきます。
モブレーの温かなテナーとも、ケニー・ドーハムの突き刺すようなTrumpetも、ウォルター・ビショップの軽快で端正なピアノも部屋に鳴り響きます。
音は十分いい。
van gelder刻印なら十分買う価値がある。
演奏は?
まぁ、今更私がとやかく言う必要のない名アルバムでしょうが、いいですね。
いいんですけど、なんていうか全体的にモブレーが、主役を完全にケニー・ドーハムに譲っています。
たしか1曲めもケニー・ドーハムのソロから始まるんじゃなかったっけ?(間違ってたらすみません。聴き直すのが億劫なので記憶のままに書いています)
とにかく全体的に、ケニー・ドーハムのソロが目立つアルバムで、「モブレー目当て」に買って聴くと少し肩透かしを食らうかもしれません。
しかし全体的にそれよりも、Walter Bishop, Jr.の好演が目立ちます。
モブレーの演奏、ケニー・ドーハムの演奏。
それはそれで楽しく聞けるのですが、彼らの管楽器による演奏がないところでのWalter Bishop, Jr.のピアノがとても流麗で聴いていて「心が洗われるよう」に感じます。
あまり詳しいことは知りませんが、このあたりのVANGELERのピアノの音。よく聴くような「コツコツ音」はあまり感じないような気がします。
もちろん、リバーサイドやコロンビアのピアノの音のほうが、筆者的には好みなんですけど、でも、ここでのVANGELERのピアノの音も十分綺麗で聴くものを魅了します。
まぁ、何より。
このアルバムを語るうえでは、「I Should Care」の存在は欠かせないですよね。
もちろん全体的に名盤・名演なんですけど、どちらかと言うと、それまでは軽い、ノリの良いジャズが展開されている傾向にあります。
ところが、B面の2曲目でガラッと雰囲気が一変します。
I Should Care。
聴かせる珠玉のバラード。
ケニー・ドーハムもウォルター・ビショップも、ハンク・モブレーもなにか「悦に浸っている」かのような、なにかスイッチが入ったかのように、素敵なバラードをきかせます。
もちろん、ダグ・ワトキンスやアート・テイラーも好サポート。
あまり、
「この曲を聞くためだけにこのアルバムを買う価値がある」
という表現は好きではないんですけど、
このアルバムに関してだけはそれが言えるかもしれません。
「この曲だけを聴くために買う価値がある」
と。
それくらい、本当に素敵なバラードです。
というか、i shoul careの曲自体がやっぱりいいですね。
これを聴いていると、tete montoliuのRECORDANDO A LINEも欲しくなってしまいますね。
惜しむらくは。
やはりここでも、ハンク・モブレーは、「サポート」に回ります。
主役をケニー・ドーハムに譲っていて、10分近いこの曲の、大半はケニー・ドーハムが吹いています。
うーん、それはそれですごくいいんですけど、やっぱり「モブレーを聴きたい」と思っている人間にとって、最後の数分でのモブレーのソロは、少しだけ物足りない。
逆だったら良かったんですけどね。
最初にモブレーがソロで泣かせて、最後にケニー・ドーハムが締める。
あるいは順番はそのままでも、もう少しモブレーのソロがながければいいんですけど。
まぁ、これがまた、モブレーらしいといえばモブレーらしいんですけど。
とにかくこのアルバムを買ったら、B面2曲目のI Should Careは必聴ですね。
かといってその曲だけを聞けばいいかと言われるとそうでもない。
このアルバムを曲順通りに聴いていって、B面2曲目でこの曲を聞く。
そこに意味があるんだと思います。
正直な話すると、この曲、「I Should Care」がなければ、このアルバムは手放していると思います。
そのくらい、本当に泣かせる・聴かせる素敵なバラッドです。
ほら、聞こえてくるでしょう。
このウォルター・ビショップの何かを失った悲しみを伝えてくるようなピアノ。
ケニー・ドーハムの優しくも切ない、そしてやはり悲しいトランペットが。
ハンク・モブレーは最後の楽しみにとっておいてください。
明かりを落として、真夜中に、一人しっとりと耳を傾けてください。
言葉はいりません。
追記。
きっとリー・モーガンだとこうもいかないだろうな。
少なくともリー・モーガンのリーダー盤だったら、きっとリー・モーガンがグイグイ「俺が俺が」というように前に出てくるんだろうな。
まぁ、それでも実際に良いからすごいんだけど。
特にleewayの最後の一曲なんかは、ジャッキー・マクリーンを制して最後までモーガンが吹き続けるからな~。
あ、まだこのブログでリーウェイのレビューしていなかったんだ。今度書きます。
しかし今この文章を書きながら、I Should Careのモブレーのソロ。
やっぱりいいな~。モーガンとは数多く共演してきたけれど、対局にいるといえるこの2人。
でもやっぱりここでのモブレー、泣かせます。
コメント