ジャズレコード買取で損しないための手引き|Blue Noteオリジナル盤の見分け方をプロが徹底解説
「レコード買取完全ガイド」をお読みいただき、ありがとうございます。専門家の結城 響です。親記事ではレコード買取市場の全体像についてお話しましたが、こちらの記事では、特に奥が深く、高額査定が期待できる「ジャズレコード」の世界、その中でも王様的存在であるBlue Noteレーベルのオリジナル盤に焦点を当てて、その価値と見分け方を徹底的に解説します。
あなたのコレクションに眠るジャズレコード、もしかしたらそれは驚くべき価値を持つ一枚かもしれません。
なぜBlue Noteのオリジナル盤は高価買取されるのか?
数あるジャズレーベルの中でも、なぜBlue Noteは特別なのでしょうか。その理由は大きく3つあります。
- 歴史的重要性: 1950年代から60年代にかけて、モダン・ジャズの黄金期を築き上げた伝説的な名盤を数多く生み出しました。
- 圧倒的な音質: 天才エンジニア、ルディ・ヴァン・ゲルダー(RVG)による録音は、現代の耳で聴いても色褪せない、生々しく力強いサウンドを誇ります。
- 芸術的なジャケット: グラフィックデザイナー、リード・マイルスが手掛けたジャケットは、それ自体がアート作品として高く評価されています。
これらの要素が絡み合い、特に発売当時にプレスされた「オリジナル盤」は、単なる中古レコードではなく「歴史的な文化遺産」として、世界中のコレクターが探し求めているのです。
プロが実践するBlue Noteオリジナル盤の見分け方【5つのポイント】
見た目が同じように見えるレコードでも、オリジナル盤か再発盤かで査定額は天と地ほど変わります。ここでは、プロの査定士が必ずチェックする5つのポイントを、初心者の方にも分かりやすく解説します。お手元にBlue Noteのレコードがあれば、ぜひ見比べてみてください。
ポイント1:レーベル面の「住所」
レコード中央のラベルに記載されているBlue Note社の住所表記は、製造時期を特定する最も重要な手がかりです。
- LEXINGTON AVE, NYC: 最も初期で、価値が高いとされる住所表記です。
- 47 WEST 63RD NYC: 次に古い住所表記で、これも非常に価値が高いオリジナル盤です。
- NEW YORK USA: 1960年代中頃からの表記。これ以降はオリジナル盤ではない可能性が高まります。
- DIVISION OF LIBERTY RECORDS, INC.: 会社が買収された後の表記で、一般的にオリジナル盤とは見なされません。
ポイント2:盤の溝(Deep Groove)
レコードのラベル面の外周近くに、深く刻まれた溝があるかを確認してください。これを「Deep Groove(ディープ・グルーヴ)」と呼びます。1960年代中頃までのオリジナル盤の多くにこの深い溝が存在します。再発盤になるとこの溝は浅くなるか、無くなります。
ポイント3:盤のデッドワックスにある「耳」と「RVG」の刻印
レコードの最も内側の、音溝が終わった後の無音部分(デッドワックスやランオフグルーヴと呼ばれます)を見てください。ここに、時期を特定する重要な刻印が隠されています。
- 「耳」マーク: 手書きで描かれたような耳の形のマーク。これはプレス工場(Plastylite社)のマークで、これがあるものはオリジナル盤である可能性が極めて高いです。
- 「RVG」刻印: エンジニア、ルディ・ヴァン・ゲルダーのイニシャルが機械で刻印されています。これもオリジナル盤の重要な特徴です。
ポイント4:ジャケットの「ラミネート・コーティング」
オリジナル盤のジャケットの多くは、表面に光沢のあるビニールコーティング(ラミネート加工)が施されています。再発盤になると、このコーティングがなくなることが多いです。
ポイント5:ジャケット裏面の住所
ジャケットの裏面に記載されている住所も、レーベル面の住所と同様に時期を特定する手がかりになります。「43 West 61st St., New York 23」といった住所が記載されていれば、オリジナル盤の可能性が高いです。
まとめ:専門知識を持つ買取店で、本当の価値を
ここまでBlue Noteオリジナル盤の見分け方を解説してきましたが、非常に専門的で、判断が難しいと感じられたかもしれません。
だからこそ、ジャズレコードを売却する際は、これらの知識を正確に理解しているプロの査定士がいる専門店に依頼することが不可欠です。総合リサイクルショップなどでは、これらの細かな違いが見過ごされ、数万円の価値があるレコードが数百円と査定されてしまう可能性も十分にあります。
あなたの愛情が詰まったジャズレコードの本当の価値を、ぜひ信頼できる専門家に見つけてもらってください。
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