朗らかに歌う。そんな形容がピッタリの最強の名盤。
John Coltrane – Blue Train (Blue Note BLP 1577)
基本情報
- アーティスト: John Coltrane
- アルバムタイトル: Blue Train
- カタログ番号: Blue Note – BLP 1577
- 音源フォーマット: モノラル(リイシュー盤はDG両面、NEW YORK USAラベル、ラミネートジャケット、®マーク付き)
- リリース年: 1962年(オリジナルは1958年1月発売、録音は1957年9月15日)
- レーベル: Blue Note Records
- ジャンル: Jazz
- スタイル: Hard Bop
トラックリスト
- Blue Train (John Coltrane)
- Moment’s Notice (John Coltrane)
- Locomotion (John Coltrane)
- I’m Old Fashioned (Jerome Kern, Johnny Mercer)
- Lazy Bird (John Coltrane)
参加ミュージシャン
- John Coltrane – テナーサックス
- Lee Morgan – トランペット
- Curtis Fuller – トロンボーン
- Kenny Drew – ピアノ
- Paul Chambers – ベース
- “Philly” Joe Jones – ドラムス
録音詳細
- 録音日: 1957年9月15日
- 録音場所: Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey
- 録音エンジニア/マスタリング: Rudy Van Gelder
- プロデューサー: Alfred Lion
補足情報
- ジャケットデザイン: Reid Miles
- 写真: Francis Wolff
- ライナーノーツ: Robert Levin
- ラベル表記は「BLUE NOTE RECORDS INC – NEW YORK USA」、両面ディープグルーヴ、®マーク付き、裏ジャケットに「INC」表記あり。
- ランアウトにはRVG刻印とPlastylite社の「耳」(cursive “P”) スタンプあり。
- オリジナル盤は1958年1月リリース、コルトレーンがBlue Noteで唯一リーダーを務めたアルバム。
- 3管編成による厚みのあるサウンドと、ハードバップの名演が特徴。
- 「Blue Train」「Moment’s Notice」など、コルトレーンの代表曲を収録。
アルバムの特徴・評価
「Blue Train」は、ジョン・コルトレーンがBlue Noteレーベルで唯一リーダーを務めた歴史的名盤です。リー・モーガン、カーティス・フラーとの3管編成が生み出す重厚なアンサンブルと、コルトレーンのストレートなハードバップ・プレイが高く評価されています。録音はルディ・ヴァン・ゲルダーによるもので、音質も非常に良好です。ジャズ・ファン必携の一枚とされています。
私の持っている盤、John Coltrane Blue Train BLP1577 両面DG New York RVG 耳あり
私なんかが、このアルバムを表するのは、あまりにも早計、分不相応ということは重々承知しています。
しかし、アルバムの中身については多くを語らないまでも、私の中のこの盤への思い入れや盤との出会いくらいは語ってもバチは当たらないでしょう。
まだジャズレコードを集め始めて間もない頃。7年くらい前でしょうか。
まだオリジナル盤のレコードは持っていないか、数枚持っているか程度の時代。
やはりオリジナル盤のレコードを集めるとなったら、bluetrainを買わないわけには行かないと意気込んでいました。
とはいえ、その当時、トランペットとテナーサックスの音色の違いもまともに判断できないくらいの時代。
カーティス・フラーは、村上春樹の小説から「ブルースエット」経由でぎりぎり知っていたものの、「リーモーガン?うーん、あまり知らないけれど・・・」くらいの時代。
よくそんなときに、ブルートレインのオリジナル盤を買おうとなんて思えたものだと、今考えたら甚だ恥ずかしくもなってしまいます。
当然、オリジナルレコードを購入するのに別に「資格」があるわけでもないので、そのときにブルートレインのオリジナルレコードを集めようとすることが「罪」というわけではありません。
ただ、今考えれば焦る必要もなかったんじゃないかと感じます。
bluetrainのオリジナルの条件はご存知のように、
- 両面63rd(23付きは一旦おいておいて)
- 両面DG
- Rなし(=.incなし)
- 耳付き
- 9M刻印
- フラットエッジ
ザッとこんな感じでしょうか。ジャケットも条件にあるのは知っていますが一旦おいておきます。
で、さっきの話に戻して、ジャズオリジナルレコードを集め始めて間もない頃に、たまたまディスクユニオン吉祥寺ジャズ館(当時のスーツカンパニーだっけか?の隣りにあったとき)に、このブルートレインのオリジナル盤がエサ箱に並んでいるのを知りました。
うーん、記憶は曖昧だけど、4万円くらい?
当時はオリジナル盤の相場というのをあまりわかっていなかったし、相場の調べ方(discogsとか)もあまりよくわかっていなかったので、4万円が安いのかどうかも全くわかっていませんでした(今考えると価格だけ見ると安いですね)。
で、さんざん悩んだ挙げ句、一旦帰ることに。
でも帰った後も気になって気になって仕方なく、数日後、もう一度吉祥寺に訪れてもう一回チェック試聴。
一旦外の空気を吸って悩んで、挙句の果てにようやく購入しました。
7年くらい前のブルーノートの相場は2025年現在よりやすかったとはいえ、ブルートレインのオリジナル盤で4万円というのはそれにしたって安すぎ。
理由は盤面の状態でした。
深い傷があり、かなりの周回ノイズがありました。
でも購入前のわたしは、盤面の状態への意識というのがなく、「オリジナル盤のブルートレインが手に入る・・・」という魅力(魔力?)にとりつかれて、流されるがままに(誰にというわけでもなく勝手に自分で)、購入してしまったわけです。
で、家に帰って聞いているうちに、最初は「やっぱりすごい!」と思ったもののずっと聞いていたら、「このノイズ・・・ちょっと無理だ・・・」と思うようになりました。
結局挙句の果てに、売り払ってしまいました(たしか名古屋のラジオデイズレコードに売った気もするんだけどあまりどこに売ったか覚えていない)。
でもそれからも、しばらくブルートレインのオリジナル盤のことは気になっていましたが、ディスクユニオンの出品情報を見て愕然。
10万円前後で販売されることが当たり前。
「なるほど。あのとき4万円で購入できたのは特別割引とかラッキーとかでもなんでもなく、ただたんに状態が悪かったから安売りされていただけなのか・・・」
と気付かされました。
しばらく忘れていたのですが、ちょうど立川で、大学のサークルの同年会?的な集まりがあったときに、たまたま始めてあったサークルの先輩に、同様にジャズレコードを集めている人がいました。
その時にその人が、
「ブルートレインのレコードはNY盤でもRVG付きなら音すごいよ。」
とおっしゃっており、それから、「そう言うならNY盤を探してみようかな。」と思っていました。
それから数ヶ月立ったときに、たまたま、立川のディスクユニオンのセールでNYのブルートレインが出品されていて、(というかたまたまセールの日に並んでたまたま手に取った気がする)購入。
前述の条件、NY、DG、耳付き、RVGという盤面。状態はほぼ完璧。
で、価格は・・・あまり覚えていないのですが、5~8,000円位の間だったと思います。
今ではこの価格では変えませんね。状態はニアミントと言っても過言ではないので。
で、購入した当初は、いいなと思ったものの、オリジナルを集めていた身分、オリジナル盤を手放してしまった若干の後悔から、「うーん、確かにいい音なんだけどオリジナルと比べるとちょっと音が劣る気がするな・・・」なんて考えていました。
そこからあまり、このブルートレイン。聞く機会は少なくなっていたのですが、
おとなになった今(?)。
あらためて考えてみたら、リーモーガンとジョン・コルトレーンが共演している唯一に近い盤はこれだけ。
ここ最近、リーモーガンのcookerのリバティRVG盤を手に入れて、「うっわー!すっげぇアルバム!」と感動し、3日前ににジョン・コルトレーンのラッシュライフ
【感情の吹き上げ】John Coltrane Lush Life MONO PRLP 7188 RVG(たぶんオリジナル)
を久しぶりに聞いたのを思い出し、「この二人の共演しているアルバムってないんだっけ?」と考えたことから昨日、久しぶりに、このブルートレインを聞いたわけです。
前置きが長くなりましたが、購入当初、「いまいちかな・・・」と思っていた音質。
当時の私に説教をしたくなるくらい、音は良い。
まるでコルトレーンのテナーサックスがスピーカーを超えて飛び出してくるかのような臨場感。
そういえば、渋谷のジャズレコードセールに並んでいたときに、先輩コレクターに、
「ブルートレインのオリジナル盤は音質全く違うよー。」
と言われたのも影響したのかもしれませんが、あらためてNY耳付きRVGで聞くと、
「うーん、オリジナルでこれ以上とは思えなんな・・・」
というくらい凄まじい音質。
実際、1500番台のオリジナル盤で言うと、もともと数枚持っていたり、あ、今気づいたんですけど、1500番代のオリジナル盤は状態が悪いのが多く、全部売ってしまったので今はオリジナル盤では持っていません。
しかし、4000番台の音が良いとされるバードインフライト(blp4048)のオリジナル盤や過去持っていた1500番台の音質の記憶と比べてみても、決して劣るとは思えません。
少なくとも、moreさんは、
オリジナル自慢のコレクターにとっては、天と地との差がある様に表現するのだろうな
無理矢理に表現するとオーディオ・マニアが「ほら、変わったでしょう」
と言った途端、変わった・よ・う・に聞こえる感じる感覚に近い差かな?
確かに微妙に雰囲気は変わるが
基本的には聴き比べない限り殆どの場合
“耳あり”“耳なし”の差は【分からない】と思う
「全然違うよ!」の言葉には注意して… と言うことだ ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.47
とおっしゃるように、正直な話言うと、先輩方には大変失礼なのですが、少なくともこのブルートレインに関しては、オリジナル盤と私の今所有しているNY耳付きRVGとさほど差はないように感じます(繰り返しますが、以前一度はオリジナル盤を所有していました)。
長くなりましたが、このブルートレイン(BLP1577)のレコード、オリジナルに近い音で楽しみたいなら、NYのRVGで十分なんじゃないかと思います。欲を言えば耳付きでほしいけれどなかったとしても(実在するのか走りませんが)いいんじゃないかと思います。
演奏については私なんかが語る資格はないと思いますが、どうも個人的に「一曲目」はあまり聞く気になれません。
ものすごいフレージングに天衣無縫のリーモーガンがついて最強の曲。
であることは確かなんですけど、なんだか肩身狭いというか、かしこまって聞かないとならない印象で、「ジャズを楽しむ」という感じにはなれないんですよね。
一方で2曲目の、Moment’s Noticeなんかは、気軽に楽しめてコルトレーンも乗りに乗っている。もちろん、リーモーガンも朗らか。
3曲目のLocomotionもとても楽しく、(といったものの、すみません、今パッと記憶から出てきません)。
4曲目I’m Old Fashioned。往年のスタンダードナンバーを朗らかに歌い上げる。
曲の締めは、リーモーガンの例えようのない美しいトランペットで終わり、次のLazy Birdもそのリーモーガンのトランペットから始まる。
先輩方には大変失礼で、これまで評論家の方々などにも怒られそうですが、個人的には1曲目以外は最高に好きな曲ばかり集まっている素敵なアルバムです。
(たぶん私があまりこのブルートレインを聞かないのはこの1曲目の敷居の高さが原因)
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