なんとも不思議な盤だな・・・
Kenny Burrell – Blue Moods (Prestige PR 7308 / PRLP 7308)
この盤特有の特徴(1964年 Prestige モノラル再発盤)
- リリース年: 1964年(オリジナルは1957年録音)
- レーベル: Prestige – PR 7308, PRLP 7308
- フォーマット: LP, モノラル、リイシュー盤
- ラベル仕様: 1960年代Prestigeのダークブルー・トライデント(矛)ロゴ・ラベル(オリジナルのファイヤーワークス・ラベルとは異なる)
- ラッカー盤カッティング: Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ(VAN GELDER機械刻印あり)
- マトリックス/ランアウト:
- Side A: MVLP #40-A PRLP 7308 A VAN GELDER(MVLP #40は元のMetrojazz番号)
- Side B: MVLP #40-B PRLP 7308 B VAN GELDER
- カバーデザイン: Don Schlitten
- カバーフォト: Jim Pearsall
- ライナーノーツ: David A. Himmelstein
録音・内容
- 録音日: 1957年9月14日
- 録音場所: Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey
- 録音エンジニア/マスタリング: Rudy Van Gelder
- プロデューサー(監修): Bob Weinstock
パーソネル
- Kenny Burrell – ギター
- Tommy Flanagan – ピアノ
- Cecil Payne – バリトンサックス
- Doug Watkins – ベース
- Elvin Jones – ドラムス
トラックリスト
- Don’t Cry Baby (Kahn, Fiorito)
- Drum Boogie (Weybright)
- Strictly Confidential (Bud Powell)
- All Of You (Cole Porter)
- Perception (Kenny Burrell)
この盤のポイント
- Prestige 1960年代再発のダークブルー・トライデントラベル仕様(オリジナル・ファイヤーワークスラベルではない)
- VAN GELDER機械刻印(手書きRVGではない)
- オリジナルはMetroJazzレーベル(MVLP #40)でリリースされたが、Prestigeが自社カタログに編入し再発
- Prestige再発盤のため、コレクター的にはオリジナルより廉価だが、VAN GELDERカッティングによる安定した音質が特徴
- カバーデザインや写真も再発時のPrestigeらしいモダンな雰囲気
内容・評価
- Kenny Burrellのリーダー作として、バリトンサックスのCecil Payne、Elvin Jonesのドラムなど、豪華メンバーによるリラックスしたハードバップ~モダンジャズ作品
- 「Strictly Confidential」(Bud Powell)や「All Of You」(Cole Porter)など、スタンダードとオリジナルをバランスよく収録
- Burrellのブルージーかつ洗練されたギター・プレイ、Flanaganのピアノ、Payneのバリトンの組み合わせがユニーク
- Prestige再発盤は音質も良好で、気軽に楽しめる1枚として人気
この『Blue Moods』PR 7308盤は、Prestige 1960年代再発特有のダークブルー・トライデントラベル、VAN GELDER機械刻印、オリジナルMetroJazz盤とは異なるカタログ番号とデザインが特徴です。内容はKenny Burrellの初期代表作として、今も高く評価されています。
私の持っている盤、KENNY BURRELL Blue Moods PRLP7308 黄NJ vangelder
正直な話、このレコードについてはそれほど深い思い出があるわけではないです。
というのもここ最近、とあるオンラインショップで、4,000円代で販売されていたこともあって、なんとなく印象に残っていて、「へぇ、安いな~。」と思っていたけど、買わずにいて、一週間くらい経ってもまだ残っていたので、試しに買ってみた程度。
正確には、

5月17日のディスクユニオン新宿ジャズ館のセールで出品されることを知り、「高額盤」と書かれていたので(その当時販売価格は知らなかった)、
「4,000円なら安いっぽいから買ってみようかな?」
と思い、試しに買ってみた程度。
このアルバムが好きだったから買ったというわけではありません。
実際に聞いてみると、
「ブルー・ムーズ」の日本タイトルで出たこともある、名前をタイトルにした盤。名前をタイトルにするのはデビュー盤や決定盤的な自信作が多い。バレルの名盤として扱われることは少ないが、決定盤の一つではあると思う。バレルのプレイはいいと思うが、選曲が地味なのと、セシル・ペインのバリが意外と控えめなのもマイナス要因かもしれない。(hand)
Kenny Burrell リーダー作①1956・1957年デトロイトからニューヨークに出てきた初期のバレルは、ブルーノートとプレステッジを中心にリーダー盤やリーダー的ジャムセッション盤を数多く録音しています。ウエス・モンゴメリーの活躍よりも早く、ニューヨークで重用されていたことがわかります。
こちらの、ジャズ談義でも書かれているように、ちょっとセシル・ペインのバリトーンサックスがきになる。
正確には、セシル・ペインが参加していない(していなかったはず)、B2の「all of you」は確かに、他の方が絶賛されているように、最高のテイスト、最高の演奏だと思うのですが、それ以外の曲で、セシル・ペインが参加している曲においてはなんだか「ん?」と感じてしまう。
そして後述の試聴用リンクで聞いていただければわかるように、一曲目に深めの傷があり、それによるノイズがあったので多分手放すことになると思います。
しかし、音はものすごいです。
黄NJで、「手書きRVG」ではなくて、「vangelder刻印」だから、どちらかというと、「右紺」に近いはずなのですが、音は、まるで黄色NYのオリジナル盤なんじゃないかと思えるほどの圧倒的な迫力です。
・・・閑話休題。
今回この盤について「不思議」と書いたのは、エッジ部分の刻印です。
この盤、正確には私が購入した盤(5月17日の新宿ジャズセールで出品されたのと同じ盤)は、discogsには載っていないんですよね。
つまり、黄NJバージョンはdiscogsにはなぜか掲載されていません。
で、ジャケットに書いてあるレコードナンバーは、PR7308。
実際にエッジ部分に刻印されているのもPRLP7308なので、あきらかに、原盤のPRLP7088とは違うプレスと思われます。
更に言うと、さっきも少し書きましたが、オリジナル盤が、RVGスタンプであるのに対して、こちらは「vangelderスタンプ」なので、少なくともオリジナルから少しはなれた盤であることが伺えます。
私が不思議と言いたいのは、消された刻印。
エッジ部分に、PRLP7308の刻印がされていて、その左隣に、写真でどれだけ伝わるかわからないのですが、
MVLP1140 と書かれているんですよね。
これなんなんですかね?
MVLPといえば、moods villeが思い浮かぶのですが、
仮にそのシリーズで作ろうとしていたのであれば、
「MVLP9」(トミフラ)などのように、数字一桁二桁だけでとどまるはずなんですけど、
ご丁寧に11と書いてそれを、刻印消しして、その後ろに40とかいている。
ということは、MVLP40として販売しようとしていたのでしょうか?
と思ったら、discogsにはちゃんと書かれていますね。
Matrix / Runout (Side A etched, VAN GELDER stamped): MVLP #40-A PRLP 7308 A VAN GELDER
Matrix / Runout (Side B etched, VAN GELDER stamped): MVLP #40-B PRLP 7308 B VAN GELDER
権利協会 (B3): BMI
https://www.discogs.com/ja/release/16684683-Kenny-Burrell-Blue-Moods?srsltid=AfmBOorR8iZy_jLdXD64QDVCDyO17ISMo54nksaMjHbn9Il-5QsAkr6u
実際、MVLPシリーズは39まであるようですね。
始めて知ったのですが、MVLPシリーズはラッキートンプソンのMVLP39で止まっていて、MVLP40、及び、それ以降のMVLP41というのはないようです。
これでほぼ決定ですね。
つまり、prestigeは、この「ブルームーズ」をMVLP40として発売しようとして、何故かそれを取りやめて、黄色NJ、PRLP7308として販売したみたいですね。
でもなぜ、MVLP1140となっているのでしょうか?
当然、
「あ、間違えた!すでにMVLP11はあるやん!40にしよう!」
となったとは考えづらいですよね。
ちなみにMVLP11はこちら。
Lem Winchesterのアルバム。
百歩譲って、そんなイージーミスていくだったとしたら、刻印消しのあとMVLP12になっていないとおかしい。
しかも、blue moodsのオリジナル盤のレコードは1957年録音。Lem Winchesterのレコードは1961年録音っぽい。
おそらく、blue moodsの方が数年先にレコーディングされているので、最初に、「MVLP11」として発表しようとしたけれど、何らかの理由でお蔵入り。
そして、どんどん後回しになっていき、MVLP40として出そうとしたけれど、これまた何らかの事情でやっぱりやめて、黄色NJのPRLP7308(刻印)として発表した。だけど、ジャケットはPR7308というワケのわからないことになっています。
まぁ、それだけ混沌な時代のレコードということなのでしょうか。
とにかく。
レコードの音自体はものすごく良いです。少なくとも、紺色レーベルのときよりも遥かに迫力のある音で演奏が聞けます(他の紺色RVGなどと比べて、という話)。
今回私はあまり状態が良くなかったので手放しますが、やはりNJレーベルの音はなぜかそれだけですごいんですかね。
あ、ちなみに重量もすごくずっしりです。
たいてい、紺色レーベルのレコードだと盤が軽いんですけど、このNJレーベルのPRLP7308はずっしり重量がありました(計測はしませんが・・・)
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