本当に不思議なレコードである。
Miles Davis – Collectors’ Items (Prestige PRLP 7044)
基本情報
- アーティスト: Miles Davis
- アルバムタイトル: Collectors’ Items
- カタログ番号: Prestige – PRLP 7044, LP 7044
- 音源フォーマット: モノラル(リイシュー、Diskmakersプレス)
- リリース年: 1964年(オリジナルは1956年)
- レーベル: Prestige Records Inc.
- ジャンル: Jazz
- スタイル: Bop, Hard Bop
トラックリスト
- The Serpent’s Tooth (Take 1) – Miles Davis
- The Serpent’s Tooth (Take 2) – Miles Davis
- ‘Round About Midnight – Thelonious Monk
- Compulsion – Miles Davis
- No Line – Miles Davis
- Vierd Blues – Miles Davis
- In Your Own Sweet Way – Dave Brubeck
(A面:1–4、B面:5–7)[5]
参加ミュージシャン
- 1953年1月30日セッション(A面):
- Miles Davis – トランペット
- Sonny Rollins – テナーサックス
- Charlie Parker(”Charlie Chan”名義)– テナーサックス
- Walter Bishop Jr. – ピアノ
- Percy Heath – ベース
- Philly Joe Jones – ドラムス
- 1956年3月16日セッション(B面):
- Miles Davis – トランペット
- Sonny Rollins – テナーサックス
- Tommy Flanagan – ピアノ
- Paul Chambers – ベース
- Art Taylor – ドラムス
[3][5]
録音詳細
- 録音日・場所:
- 1953年1月30日:WOR Studios, NYC(A面)
- 1956年3月16日:Van Gelder Studio, Hackensack, NJ(B面)
- 録音エンジニア/ラッカー盤カッティング: Rudy Van Gelder(RVG刻印あり)
- プレス: Diskmakers(DM刻印あり)
- 監修: Bob Weinstock, Ira Gitler
- ライナーノーツ: Ira Gitler
[1][3]
補足情報
- 1953年セッションはCharlie Parkerが契約上の理由で”Charlie Chan”名義で参加し、テナーサックスを演奏。ParkerとRollinsが共演した唯一の録音。
- 1953年セッションはMilesやParkerの薬物問題もあり、混乱した現場だったとされる[5]。
- 1956年セッションはMilesのPrestigeとの契約消化の一環で、Rollins以外は新しい顔ぶれ。
- 本作は2つの異なる時期・メンバーのセッションを組み合わせて構成されている。
- オリジナル盤はPrestigeの12インチLPとして1956年リリース。1964年Diskmakersプレス盤はダークブルー・トライデントラベル、ラミネートカバー。
- ランアウトには「RVG」「DM」「AB」などの刻印あり。
- 「Vierd Blues」は後年「Trane’s Blues」としても知られる。
- 「In Your Own Sweet Way」はDave Brubeck作のバラード。
[1][2][3][4][5]
アルバムの特徴・評価
「Collectors’ Items」は、ジャズ史的にも貴重なセッションを収めたアルバムで、特にCharlie ParkerとSonny Rollinsの唯一の共演が聴ける点が最大の特徴です。2つの異なる時期のMiles Davisの音楽的変化や、1950年代モダンジャズの空気を感じられる内容となっています。AllMusicなどでも「しばしば見過ごされがちだが、不朽の名手たちによるクラシック」と評価されています[3][5]。
私の持っている盤、Miles Davis Collectors’ Items PRST7044 手書きRVG(PRLP7044刻印)MONO
以前から、ほしいほしいと思っていた、miles davisのCollectors’ Items。以前と言っても、ほしいと思い始めたのは5年くらい前だろうか。
このアルバムは、参加メンバーが豪華な割に、あまり人気のないアルバムで、メンバーは前述の通り、チャーリー・パーカー、ソニー・ロリンズ、ウォルター・ビショップjr.、トミー・フラナガンと、モダンジャズファンなら誰もが知っている重鎮ばかりが集まったアルバムです。
もちろん、厳密には全員が同時参加しているわけではなく、チャーリー・チャン名義で参加しているチャーリー・パーカーはA面でテナーサックスを吹き、ピアノはウォルター・ビショップJr.。B面のテナーサックスは、ソニー・ロリンズで、ピアノはトミー・フラナガン。(カノ有名な、サキソフォン・コロッサスの伏線?)
という豪華な組合せの割に、あまり人気のない盤で、それもそのはず。
A面は1953年の録音であるのに対して、B面は1956年の録音というチグハグな、ほぼコンピレーション・アルバムに近い作品なのではないでしょうか。
で、当時、オリジナルでほしいと思ってもだいたい8,000円くらい。高くても12000円とかが相場だったので、「オリジナルでほしい」と思っているうちに、気を逸してしまい、結局オリジナル盤では入手できなかった盤。
ちなみに、いつも購入時の参考にしているジャズ談義においては、

やはりそれほど高評価されていない。
で、昨日久しぶりに聞き直した私自身の評価としてもほぼ同様。
いや、決して悪くはないです。
3曲目のラウンド・アバウト・ミッドナイトなんかは、「チャーリーパーカーがいるとこんな演奏になるのか」と新たな一面が見れていいですし、
B面におけるソニー・ロリンズとトミー・フラナガンの組合せはさすが。
前述しましたが、「サキソフォン・コロッサス」を彷彿とさせる勢いのある演奏に圧倒されます。
(たしかに音はそれほど良い気はしない)
でも問題はA面の全体。
ジャズ談義でも語られているように、「なぜチャーリー・パーカーがテナーサックスで参加したのか?」
という問題。
A面全体で見ると、正直演奏面は「凡作」のように聞こえてしまいます。
突出したところもなく、どちらかというと完全な「ビ・バップ」の風潮に近い。
ビバップが好きな人にはいいかもしれません。
私も決して「ビ・バップ」が嫌いなわけではないのですが、ただ、「ビ・バップ」として聴く演奏と「モダンジャズ」として聴く演奏は違う。
「モダンジャズ」のアルバムとして聴くと肩透かしを喰らいます。
しかし、B面はまごうことなき、モダンジャズ。正真正銘のハードバップと言えるのではないのでしょうか。
・・・と演奏面では賛否が分かれそうですが、私個人としては、決して嫌いではなく、「さすが帝王マイルス」の実力が遺憾なく発揮されたアルバムだと感じます。
今回注目したいのはこのレコード盤。
前述の、レコード紹介においては、「PRLP7044」の情報をご紹介しましたが、厳密には私が持っている盤は、「PRST7044」なんです。
そう。ステレオです。
というかレーベルを見ていただければわかるように
やっぱり、「ステレオ」と書かれています。
しかし、私は、購入前から知っていました。
・米盤、紺中央Trident、Rvg刻印/Prlp-7044手書き刻印、こちらレーベル面はステレオ表記ですがモノラル盤になります。
Miles Davis / Collectors Item Prst7044 :通販 ジャズ レコード 買取 Bamboo Music米盤、紺中央Trident、Rvg刻印/Prlp-7044手書き刻印、こちらレーベル面はステレオ表記ですがモノラル盤になります。シュリンク付きカバー。ジャズ・トランペット奏者、マイルス・デイヴィス の56年発表作品。
こちらで書かれているように、このレコード、「レーベル」はステレオ表記なんですけど、紛れもなく「モノラル」のレコードなんですよね。
実際、上記の「ステレオレーベルだけど刻印はモノラル」ということを知ったうえでの、ネットショップでの購入。
厳密には、ネットで「取り置き」を依頼しておいて、実際に店舗に訪店して、

このセールに参戦したときに、一緒に購入しにいったレコード。
で、購入時に店員さんに聞きました。
「このレコード、レーベルにはステレオと表記されていますけど、PRLP7044と刻印されていますよね?モノラルですか?」
と。で、店員さんは、
「あ、本当ですね。これはモノラルです。」
とのご返答。
やはりこれはモノラルレコードのようです。
本当に不思議なアルバムです。
よく、ブルーノートでは、
「NY時代やリバティ時代のプレス」であっても、レキシントン時代のレーベルが余っていたから、そのレーベルを使ってレコードを販売した。と思われるものがあります。
しかし・・・
このアルバム、「PRST7044」に関していえば、察するに、
「発売されなかったCollectors’ Itemsのステレオのレーベルが余ってしまったので、モノラルのレコードに貼り付けて販売した」
としか考えられない、なんともずさんで、お粗末な仕様といえます。
プレスティッジは、ブルーノートと違って、リハーサルを行わず一本録りで商品を販売していたというのだから、まぁ、その可能性もありうるなと感じられてしまいます。
まぁ、でも。
その分(?)モノラルの、Collectors’ Itemsが安く(確か3~4,000円くらいだったと記憶)購入できて、しかも手書きRVG刻印がついているのだから、全体的な満足度は非常に高いです。
ああ・・・
ともかく、Miles Davis Collectors’ ItemsのRVG刻印盤を「少しでも安く」買いたいと思っている方には、このステレオレーベルのモノラルバージョンはすごくおすすめです。お買い得です。
たぶん、ないとは思いますが、念のため、円周部の「PRLP7044刻印」だけは欠かさずチェックしてください。
下手すると、本物のステレオに当たってしまう?かもしれません。(私がdiscogsで見た限りではそれは発見できませんでしたが)
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