穏やかな、優しい名盤だと思う。
故郷を想うアルバムだったのかな。
ハイテンポの曲もスローテンポの曲も入り混じってぎゅっと魅力が凝縮されたアルバム。
Mose Allison – Back Country Suite For Piano, Bass And Drums(Prestige PRLP 7091, 1958年USモノラル Abbey盤)
盤仕様・特徴
- リリース年:1958年(録音:1957年、アメリカ)
- レーベル:Prestige – PRLP 7091(本盤は“Abbey Record Manufacturing Co., Inc.”プレス、ラベルに“Bergenfield, N.J.”表記)
- フォーマット:LP, Album, Mono(リイシュー盤。ジャケット品番7091/ラベル品番PRLP 7091)
- ジャケット:バックカバーやスパイン、ラベルに「Back Country Suite」の表記。ジャケット印刷はG E M Albums Inc., N.Y.
- マトリクス・ランアウト:サイドA:PRLP-7091-A 3 AB RVG/サイドB:PRLP-7091-B AB RVG
- レコード会社:Prestige Records Inc.
- プレス:Abbey Record Manufacturing Co., Inc.
- カッティング:RVG(Rudy Van Gelder)
- 監修:Bob Weinstock
- ライナーノーツ:Ira Gitler
パーソネル
- Mose Allison – ピアノ
- Taylor La Fargue – ベース
- Frank Isola – ドラムス
トラックリスト
- New Ground
- Train
- Warm Night
- Blues
- Saturday
- Scamper
- January
- Promised Land
- Spring Song
- Highway 49
- Blueberry Hill(作曲:Lewis, Stock, Rose)
- You Won’t Let Me Go(作曲:Johnson)
- I Thought About You(作曲:Van Heusen, Mercer ※ラベルはBurkeと誤記)
- One Room Country Shack(作曲:Mercy Dee Walton)
- In Salah
録音:1957年、ニュージャージー州、Rudy Van Gelderスタジオ(Van Gelder録音であり名録音で知られる)
この盤特有のポイント・コレクター情報
- Prestigeオリジナル初期盤のリイシューにあたるAbbey Press仕様。マトリクスの”AB”刻印が目印。
- 「Bergenfield, N.J.」アドレス入りラベルは1958-1964年のプレス特有。背表紙にアドレス表記のないジャケットが付属する。
- ラベルにおける作曲クレジットの誤記(“I Thought About You”のBurke→実際はMercer)がコレクター間で識別ポイントとされている。
- 録音・カッティングはRudy Van Gelder。Prestige黄金期の録音エンジニアによる鮮烈なピアノトリオ録音が魅力。
まとめ
『Back Country Suite For Piano, Bass And Drums』(Prestige PRLP 7091, 1958年Abbey Mono盤)は、南部出身モーズ・アリソンが伝統的国民詩情と洗練ジャズを融合させた異色トリオ作です。アメリカ南部の原風景を描写した組曲構成、初期Prestige・Van Gelder録音の奥行きある音像が楽しめ、コレクター・オリジナル志向にも応える盤となっています。
情報元Discogs URL:
私の持っている盤、Mose Allison Back Country Suite For Piano, Bass And Drums PRLP7091 1958年USモノラル RVGセカンド
このアルバムは、いつかは欲しいと思っていました。
いや、正確には、このアルバムと言うよりも、なんのアルバムでも良かったので、モーズ・アリソンのアルバムを一枚欲しかったんです。
そのきっかけは村上春樹。
あれは、2021年の放送だったのか・・・
そのラジオ、ではじめてモーズ・アリソンの存在を知って、
「いつかなにかのアルバムを買ってみよう」
と思っていたものの、後回し後回しになっていました。
それほど知名度が高いわけではないので、(村上春樹さんも言ってましたが
モーズ・アリソンをご存じですか? おそらくご存じない方のほうがずっと多いと思います。
今日、覚えてください。
村上RADIO - TOKYO FM 80.0MHz - 村上春樹この番組は、村上春樹史上初、自らがディレクターとなりテーマに合わせて選曲し、語ります!
)
急いで買う必要もないだろうと思い、後回し後回しになっていました。
で、あとまわしになっていたら、なかなか買う機会がなく、
このまま買わずに終わるかな?と思っていました。
私がレコードを購入するときに参考にしている、cotton clubさんはもちろん、moreさんも、私の知る限りではモーズ・アリソンは紹介していなかったので、まぁいいかなと思っていたのですが。
ここ最近、記事で書いてきたように、
「一旦そろそろレコード収集を終わりにしようか。」
と思っているタイミングで、たまたまディスクユニオンのオンラインショップでこちらのレコードを見かけました。
セカンドプレスでVG++。
決して安いとは言えない価格だけど、まぁ、これでいったん収集を終わらせるという意味ではいいかと思って試しに買ってみました。
このモーズ・アリソン意外と(といったら失礼ですが)オリジナル盤やらRVG盤は価格が高いんですよね。
もういちまい、横に並んでいるように、オリジナル盤は18900円で販売されています。
まぁ、それはかなり高価ですが他の販売盤でも8,000円以上していました。
で、セールとかで出品されると結構早くモーズ・アリソンはなくなりがちです。
モーズ・アリソンが好きな人が多いのか、それか私と同じように、村上ラジオでその存在を知って、興味をもって買っている人が多いのか。はたまた別のケースなのかわかりませんが。
とにかくまぁ、正直私自身はオリジナルで1万円前後払いたくないと思っていたので、状態は不安でしたが、このセカンドバージョンというのは魅力的で買ってみることにしました。
で、実際に昨日聞いてみたという経緯です。
実際に聞いてみて
と書く前に、聞く前に、このアルバム。
村上ラジオでも取り上げられていたみたいなので、ちょっとその文面を読んでみました。
モーズ・アリソンはシンガーとして高く評価されていますが、ソング・ライターとしても、またジャズ・ピアニストとしても実力を認められています。彼のピアノはミニマリズムっていうのかな、決して饒舌ではありません。どちらかというと訥々(とつとつ)とした演奏なんだけど、不思議な独特の説得力を持っています。それからリズム感覚がとてもいいんです。基本はジャズのビバップの人ですが、異端的なところがあって、ジャズの本流には受け入れられませんでした。そのあたりは、セロニアス・モンクに少し通じるところがあるかもしれません。
村上RADIO - TOKYO FM 80.0MHz - 村上春樹この番組は、村上春樹史上初、自らがディレクターとなりテーマに合わせて選曲し、語ります!
うーん。事前知識としてはかなり良いじゃないですか。モンクと通じるところがあるというのは。
事前に知っておいてよかったです。
そして、その前提で聴いてみると、たしかに何となくそれがわかる。
なんというか、誰にも媚びない、独特な雰囲気で演奏が進んでいきます。
別のアルバムで村上さんが言っていることですが、
独特のからりとしたテイストがあります。
まさにそんな感じ。
上記の言葉は、アリソンのボーカルに対していったことかもしれませんが、ピアノが中心のこのアルバムにおいても、その言葉がしっくりときます。
うん。
カラリとしたテイストがあるんですよね。
しかもなんと、A面は10曲入り。
どちらかというとメドレーという扱いなのかもしれません。
で、このアルバムの背景を少し調べるとこのように書かれていました。
本盤の正式タイトルは『Back Country Suit for Piano, Bass and Drums』:「ピアノ、ベース、ドラムのための農村組曲」といった意味でしょうか、A面が組曲となっています。
New Ground(新天地)
Train(列車)
Warm Night(暖かい夜)
Blues(ブルース)
Saturday(土曜日)
Scamper(疾走)
January(1月)
Promised Land(約束の地)
Spring Song(春の歌)
Highway 49(ハイウェイ 49)
カリフォルニアのハイウェイ49号線は、古き良きアメリカのオールドタウンと歴史を味わえる人気のドライブコースであることを知りました。1957年と65年も前のリリースですが、今後の時代を先取りするテーマ性を秘めているように感じます。
LPレコード礼讃 | Back Country SuitLPレコードとの出会いの中で、「モーズ・アリソン(Mose Allison)」の「バック・カントリー・スイート(Back Country Suit)」を紹介しています。
A面は組曲になっている。
古き良きアメリカのオールドタウンと歴史を味わえるドライブコース。
まぁ、よくはわかりませんが笑
とにかく、モーズ・アリソンの国を想う楽曲の数々であることがわかります。
以前取り上げたアルバムで、
2枚組なのに、あっという間に聞き終わってしまう魅力盤(ショーン)
Lee Morgan リー・モーガン 名盤リー・モーガン のおすすめCDと、ほとんどすべての作品をサイド参加作含めて網羅的にレビューしています
このように書かれている文章を紹介しましたが、そのジャズ・メッセンジャーズのアルバムでは、「あっという間に聴き終わってしまう感覚」はわからなかったものの、今回のこのモーズ・アリソンのアルバムではその感覚がわかりました。
1曲1曲は2~3分程度とすごく短い。
でもその短い楽曲にギュッとピアノを中心としたトリオの魅力が凝縮されています。
改めて今、録音したこのアルバムをデジタル音声で聞き直してみてもやっぱりいいです。
なんていうかやっぱり媚びない。
いわゆる「永遠に語り継がれる名盤・名演」とは違うかもしれないけれど、
肩の力を抜いてリラックスして聞ける。
聞いていて穏やかな気持になる。
聞いていて優しい気持ちになる。
どこか悲しい気持ちにもなる。
不思議なアルバムだと感じます。
唐突に、モーズ・アリソンのボーカルも飛び出る。これも面白い。
B面は打って変わって、スタンダード・ナンバーを中心として演奏します。
これはこれでいい。
しっとりと聞かせてくれて、穏やかな気持になる。
やっぱりたぶん、ずっとずっと何度も聴いていきたい名盤。
というのではないかもしれないんですけど、だけど、たまに聞くにはちょうどよい。
たまにはこういうアルバムもあってもいいんじゃないかと思えるそんなアルバムです。
なんだか悪い言い方に聞こえますが、決してそんな意味ではなくて、良い意味で。
肩の力を抜いてリラックスして聞ける、穏やかな気持になる。
そんな魅力的なアルバムだと思います。
やっぱりRVGの音、良いですよ。
決して、コロンビアやリバーサイドのようなきれいなピアノの音ではなくて、相変わらずコロコロとした、不思議なピアノの音。
だけど、それがRVGらしさというか、人間臭さがあって、逆に味かなと感じたりします。
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