運営者プロフィール
はじめまして。
当ブログ「セカンドコレクター・ケンのジャズLP収集ブログ」へようこそ!
運営しております、「ジャズLP探求家 / セカンドコレクター」のケンと申します。
数あるサイトの中から、このマニアックなレコードの沼にたどり着いてくださり、本当にありがとうございます。
このページでは、私がどんな人間で、なぜこれほどまでにジャズLPに魅了され、そしてこのブログを通じて何を成し遂げたいのか、私の正直な、そして少しばかり不純な(笑)物語を、自己紹介としてお話させてください。
不純な動機から始まった、私のジャズ探求
私のジャズとの出会いは、今から20年以上前、20歳の頃。正直に告白すると、それは「バイト先の好きな女の子と仲良くなりたい」という、なんとも不純な動機からでした。
彼女が「私、ジャズが好きなの」と言っていたのをきっかけに、なんとか会話を広げたい一心で、私はジャズの勉強を始めました。当時はCDが全盛期。レンタルCD店でマイルス・デイヴィスの『’Round About Midnight』やセロニアス・モンクの『Himself』などを借りては、来るべき会話の日に備えて聴き込みました。
そして、ある程度知識を深めたある日、「最近俺もジャズを聴くようになったんだよ。セロニアス・モンクとかいいよね」と話しかけた私に返ってきたのは、「私ジャズのことあまり詳しくないんだよね。ノリの良いジャズが好きなだけで」という言葉。私の淡い恋と、一夜漬けの知識は、こうして儚く散りました。挙句の果てに、この話を会社の社長にしたところ、「不純だね」と揶揄されてしまう始末。それもあってか、私の生活からジャズは遠ざかっていきました。
終わらない沼の始まり、そして破産の危機
そんな私が再びこの世界に引き戻されたのは、今から5年ほど前。たまたま入ったレコード店で、ある店員さんと交わした何気ない会話がきっかけでした。
ビートルズの『アビー・ロード』の初期版CDが4万円近くするのを見て驚いている私に、店員さんは言いました。「レコードとは違ってCDは音の違いはそんな出ませんよ」。この一言が、私の心に火をつけたのです。「ならば、レコードの音とは、一体どれほどのものなのだろう?」と。
かつてCDで聴き親しんだキース・ジャレットの『Still Live』のレコード盤を、震える手で買い求め、針を落とした時の衝撃は、今でも忘れられません。CDとは全く違う、温かく、生々しい音の粒子。これが、私の終わらないジャズLP収集の、本当の始まりでした。
そこからは、多くのコレクターがそうであるように、私もRVG刻印の圧倒的な音圧の虜となり、収入を顧みずレコードを買い漁る日々。そしてある時、「このままじゃ本当に破産する…」という、強烈な危機感を覚えるに至りました。それでも、一度ハマってしまった沼からは抜け出せない。そんな苦しみと葛藤の中で、私が見つけ出したのが、「高価なオリジナル盤だけを追わずとも、セカンド盤以降で十分に素晴らしい音は楽しめる」という、『セカンドコレクター』としての生き方だったのです。
多くの人は「ジャズレコードはオリジナル盤を集めないと」という神話に縛られがちですが、決してそんなことはありません。オリジナルの10分の1の価格で、同等の感動を味わえる盤は、世界にたくさん眠っています。このブログは、その「本当の楽しみ方」を伝えるために生まれました。
もう一つの使命:あなたの後悔を、私の後悔にしないために
そして、このブログにはもう一つ、どうしても伝えたいことがあります。それは、買取業者を間違え、大切なレコードを安く買い叩かれてしまう悲しみです。
以前、とある大手レコード店で買い取りを依頼した際、あまりに安い値段を提示され、愕然としたことがあります。しかし、一度出してしまった手前、取り下げるのも面倒で、そのまま売ってしまいました。その後、名古屋のあるレコード店では、比べ物にならないほど高値で買い取ってもらえた経験をし、お店によって全く価格が異なる現実を痛感したのです。
その名古屋の店主が教えてくれました。「『買取20%UP』といった大手さんの謳い文句は、見せ方の問題。もともとの買値が低いからできるんです」。その言葉が、ずっと私の心に残っています。
お金だけが全てではありません。しかし、思い出深いレコードを、納得のいく価格で次の人に繋いでもらいたい。私と同じように買い取りで後悔した人に、同じ思いをしてもらいたくない。その一心で、このブログでは、正しいレコードの売り方についても、私の責任としてお伝えしています。
このブログが最も大切にする「縁(えにし)」について
このブログが情報や知識以上に大切にしているもの。それは、一枚のレコードが紡ぐ、人と人との不思議な「縁」です。
以前、私が所有していた『サキソフォン・コロッサス』も、そんな縁の塊のような一枚でした。数年前、新宿のあるレコード店で、そのレコードを売ろうか迷っている母娘を見かけました。その足で別の店に寄ると、偶然にも、また同じお二人に会ったのです。エレベーターの中で思わず「さっきもいらっしゃいましたよね?」と声をかけると、そこから話が弾みました。
お父様の遺品である、大切なジャズコレクションを整理しているとのこと。いくつかの店を回ったものの、買取価格に納得できずにいたそうです。私はその場で、そのレコードに込められた想いと価値を説明し、彼女たちが納得する価格で譲っていただくことになりました。
そのレコードのジャケットには、前の持ち主であったお父様が切り貼りしたであろう、ドラマー、マックス・ローチの新聞記事が添えられていました。それは、音溝以外に刻まれた、もう一つの大切な記憶です。
今回、その思い出深い一枚を、私も次の方へ繋ぐ決心をしました。売却にあたり、久しぶりに娘さんへ連絡を入れると、「他の方に縁がつながることを祈っています」と温かい言葉をいただきました。私がこのブログで「納得のいく売却」にこだわるのは、こうした人の想いを繋ぐバトンの重みを、身をもって知っているからです。
お金だけではない。一枚のレコードが持つ、人の想いや物語。それごと、次の誰かへ。このブログは、そんな温かい縁を繋ぐための場所でもありたいと、心から願っています。
ジャズLP探求家 / セカンドコレクター
ケン