ジャケットとのミスマッチは否めない!だけど良い演奏
Teddy Wilson – For Quiet Lovers (Verve MGV 2029)
この盤特有の特徴(Verve 1956年リリース/インディアナポリス・プレス盤)
- リリース年: 1956年(オリジナルはNorgran 1019『The Creative Teddy Wilson』として1955年録音)
- レーベル: Verve Records – MGV 2029, MGV-2029, MG V-2029
- プレス: RCA Records Pressing Plant, Indianapolis(ランアウトにセリフ体”I”刻印)
- ラベル: MG V-2029(タイプセット違い、アーティスト名後にカンマなし)
- ジャケット:
- フロントカバー/スパイン下部: MGV 2029
- バックカバー/スパイン上部: MGV-2029
- ラベル: MG V-2029
- カバーフォト: Phil March(表)、Phil Stern(ライナー写真)
- オリジナル盤仕様: 深溝、コーティングジャケット、ブルー/シルバーNorgranラベルからVerveラベルへ再発
- 備考: オリジナルはNorgran 1019『The Creative Teddy Wilson』としてリリースされ、Verve移行後に『For Quiet Lovers』として再発
録音・内容
- 録音日: 1955年1月1日、ニューヨーク
- プロデューサー: Norman Granz
パーソネル
- Teddy Wilson – ピアノ
- Milt Hinton – ベース
- Jo Jones – ドラムス
トラックリスト
- Blues For The Oldest Profession
- It Had To Be You
- You Took Advantage Of Me
- Three Little Words
- If I Had You
- Who’s Sorry Now
- The Birth Of The Blues
- When Your Lover Has Gone
- Moonlight On The Ganges
- April In Paris
- Hallelujah
- Get Out Of Town
この盤のポイント
- Verve初期のMGV 2029番台、Norgran 1019からの再発(内容は同一)
- RCAインディアナポリス工場プレス(”I”刻印)、ラベルやジャケットの表記違いがコレクター的特徴
- ジャズ・バラードとスウィングの名曲を中心としたトリオ演奏、Wilsonのエレガントなピアノが堪能できる
- AllMusicでは「ウィルソンの気品あるスウィングとバラード解釈が光る」と評価
- 日本では「フォー・クワイエット・ラヴァーズ」としてCD再発あり[3]
内容・評価
- Wilsonの流麗でスウィンギーなピアノ、HintonとJonesの堅実なリズム隊によるリラックスしたジャズ・トリオ作品
- 「April In Paris」「It Had To Be You」「Get Out Of Town」など、スタンダード中心の選曲
- 1950年代Verve/Norgranのピアノ・トリオ名盤として、今も高い人気
『For Quiet Lovers』は、Teddy Wilsonの気品あるピアノと名リズム隊による、スウィング~バラードの名演を集めたVerve初期の傑作。Norgran盤からVerve盤への移行期を象徴する盤で、コレクターにはラベルやプレス工場違いも注目されています。
私の持っている盤、Teddy Wilson For Quiet Lovers MGV‐2029(MGV2029)
この盤は少しだけ、語るべき思い出のあるレコードで、テディ・ウィルソンといえば、私はもともと、コロンビアのmr.wilsonを持っていて、まぁこれでいいかと思っていました。確か、村上春樹の小説の中にこの中の一曲が取り上げられていた気がする。
でも言うなればこのアルバム。私の記憶が間違っていなければ、コンピレーションアルバムですよね。
それに状態もそれほど良くなかったこともあり、売ってしまいました。
でもなんとなく、「テディ・ウィルソンの一枚がほしいな」
と思っているときにハルズレコードさん、
で、ダイアリーの中に、このfor quiet loversの掲載がありました。
確か、
「何このジャケット?すごい!」
と店主の池田さんが感銘を受けたという日記。
そこから、実際にこの商品がレコードリストに出品されて、確かそれが3~4年くらい前の話で、出品額は7,000円くらい。
でもその当時、私はあまり、テディ・ウィルソンのレコード市場を知らなくて、
「mr.wilsonがだいたい1,000円~2,000円くらいということが相場、ということを考えると、いくらジャケットが良いからと言って、あまり内容も知らないレコードに7,000円を払うのはちょっと気が引けるな・・・」
と思ってスルー。
すると数日後に売り切れてしまいました。
そこから、なんとなく気になっていて、何度もハルズレコードさんとか、ディスクユニオンとかを見て回ってもこのテディ・ウィルソンのフォークワイエットラヴァーズ。
めったに出てこない・・・
さらに、その3年くらい前に、ハルズレコードさんで7000円くらいで出品されたのを皮切りに、なぜか相場がどんどん上がっていっていて、1万円くらいで出品されるケースも増えてきました。
しかもそれでもすぐ売り切れるくらいの人気ぶり。
そしてそのへんは人間の悲しいサガといいますか、コレクターアルアルなんでしょうけど、
「ほしい」と思ったレコードが手に入らないと余計に欲しくなってしまうものなんですよね。
しかもこのレコード、厳密には「オリジナル」ではないんですよね。
オリジナル盤はこれ、
なんですけど、ジャケットの関係か、こちらのオリジナル盤よりも、改題・ジャケットが変わったこのセカンドのほうが人気がある模様。
ずっと探していたんですけど、見つからずに、ようやくディスクユニオン横浜関内のセールに出品されるのを知り、なんとかゲットしました。
そのときに店員さんに、
「このレコード人気ですよね。他のレコード店では1万円を超えることがザラですけど、ここではだいぶ控えめですね。」
と言いました。そう。確か購入価格は、あまり覚えていませんが、6,000円くらい?だった気がする。
そう言うと店員さんは、
「まぁ、うちはだいたいそういう適正価格で出しますからね。」
とのこと。
しかし、それも3年くらい前の話。
2025年5月にディスクユニオンjazz tokyoで出品されたfor quiet loversには、きちんと9,850円という値段がつけられて、出品されていました。もちろん、セカンドですよ?
このレコードは本当にセカンドバージョンの方が人気なんだなと思い知らされます。
まぁ、確かに、あまりレコードにおいてジャケットを気にしない私でも、流石にこのレコードのジャケットは美しいと感じます。
ジャケットだけでも所有の価値ありと感じてしまうほど。
しかし今、こうして、試聴用のアップロードした音源を聞くと、結構ノイズが多いのが気になる。
いつか状態の良い盤に出会ったら買い替えたいなぁ。
というよりも、オリジナル盤(黄色TPラベル)を手に入れたら、ジャケットと盤を入れ替えたい(笑)
とにかく人気なこのセカンド盤のfor quiet lovers。
実際の「演奏はどうなの?」
と言われると、ジャケットとのミスマッチがすごい!としか言いようがありません(笑)
まぁ、そもそも最初は、「The Creative Teddy Wilson」というタイトルで出されたアルバムを、セカンドからタイトルも、ジャケットも変えたのだから、演奏とジャケットのイメージがかけ離れているのも当然のこと。
ジャケットはいかにもロマンチックなムード漂う、華麗な演奏を期待してしまいそうですが、実際の演奏は違います。
小気味よいスウィング時代のピアノ・トリオ。
このジャケットに惹かれてロマンチックな演奏を期待した人は落胆することまちがいなしと言えます。
じゃあ、このレコード。価値が低いのか?
と言われると決してそんなことはありません。
ジャケットと演奏のギャップが激しいと言うだけで、演奏はかなり良いと個人的に思います。
テディ・ウィルソンの優しいピアノの音色。
たまに強めにスィングするけれど、どこか哀愁も伴う憂い気のあるテディ・ウィルソンのピアノがなんとも心に優しく染み入ります。
ジャケットのイメージを演奏に持ってきちゃ駄目だけど、単純な「ピアノトリオの演奏」として聴くと良質なジャズ・ピアノを聞けるアルバムです。
中でも、B面4曲目のApril In Parisは、つい聞き入ってしまうほどの名演。
勝手なイメージだけど、エイプリル・イン・パリスのピアノトリオの演奏としては、1.2を争うほど素敵な演奏じゃないかと思います。
ちなみにこの盤、とにかく人気が高く、ユニオンとかなんかのオンラインショップで出品されるとすぐに売り切れます。
ディスクユニオンのセールに並ぶなら、「この商品を狙っている競合は必ずいる」と思って心して臨んだほうがいいと思います。
オンラインショップで出品されたら、迷わず買ってしまうほうがいいと思います(ほしいなら)。たいていすぐに売り切れます。
下に試聴用リンクを載せているので気になった方は買ってみてください。
試聴用リンク↓
コメント