セカンドコレクター、冥利に尽きる
Mal Waldron – Left Alone (Bethlehem BCP 6045, 1969年セカンド・プレス/ステレオ)
盤仕様・特徴
- リリース年: 1969年(オリジナルは1959年リリース)
- レーベル: Bethlehem Records – BCP 6045
- フォーマット: LP, アルバム, セカンドプレス, ステレオ
- プレス/ラベル: Starday-King Recordsによる再発盤で、ラベル下部に「Starday-King」表記あり(Bethlehem買収後の仕様)[1]
- スリーブ: シングル・スリーブ仕様
- マトリックス/ランアウト: BS-6045-A-X RJ / BS-6045-B-X RJ
録音・内容
- 録音日: 1959年2月24日、ニューヨーク[4]
- アルバムの成り立ち: ビリー・ホリデイの伴奏者を務めたマル・ウォルドロンが、ビリーの死(1959年)を悼んで制作した追悼作品[2][3][4]
- タイトル曲「Left Alone」: ビリー・ホリデイ作詞、マル・ウォルドロン作曲。アルトサックスのジャッキー・マクリーンが唯一参加し、感情的な名演を披露[2][3][4]
- B面最後(B3): 「Mal Waldron: The Way He Remembers Billie Holiday」は、ウォルドロンがビリーとの思い出を語るインタビュー・トラック[2][4]
パーソネル
- Mal Waldron – ピアノ
- Jackie McLean – アルトサックス(A1「Left Alone」のみ)
- Julian Euell – ベース
- Al Dreares – ドラムス
トラックリスト
- Left Alone (Holiday, Waldron)
- Catwalk (Waldron)
- You Don’t Know What Love Is (Raye, De Paul)
- Minor Pulsation (Waldron)
- Airegin (Rollins)
- Mal Waldron: The Way He Remembers Billie Holiday (インタビュー)[1][2][4]
この盤特有のポイント
- 1969年のStarday-King再発盤(Bethlehemオリジナルの2ndプレス)[1][3]
- ラベルに「Starday-King」表記があり、コレクター的にはオリジナルより評価は下がるが、内容・音質ともに良好
- 初のステレオ仕様、シングルスリーブで流通
- オリジナル盤(1959年)はBethlehemマルーンラベル、モノラル仕様
内容・評価
- ビリー・ホリデイへの哀悼を込めた名盤で、ウォルドロンの代表作
- ジャッキー・マクリーンのアルトサックスがタイトル曲で強烈な印象を残す
- ピアノトリオによる抒情的かつ深い演奏と、インタビューによるビリーへの思いが伝わる構成
- AllMusicなどでも高評価を得ており、ジャズ・バラードの名作として人気[4]
『Left Alone』は、マル・ウォルドロンがビリー・ホリデイの死を悼んで制作した傑作アルバム。1969年のStarday-King再発盤(BCP 6045)は、Bethlehemオリジナルの内容をそのままに、ステレオ仕様・ラベルデザインの違いが特徴です。ジャッキー・マクリーンの名演と、ビリー・ホリデイへの深い思いが詰まった一枚です。
私の持っている盤、Mal Waldron Left Alone BCP 6045 ステレオセカンドプレス
正直な話をすると、私はもともとこのアルバムにそれほど深い縁があるわけでは、ない。
私がジャズを知ったのはかれこれ20年くらい前の話。
誰もがそうであったように、ジャズCDから入った。
そのときに、
「どんなアルバムから聞こうか」
と考えているときに、
たまたまそのときにある種流行になっていたスイングジャーナルのベスト100や様々なジャズの情報本、アルバム解説本の中にこのマル・ウォルドロンの「レフト・アローン」が載っていて、「そこまで有名なら・・・」と買ったか、レンタルしたかの記憶がうっすらある。
だけど、その後、聞いた記憶がないということは、その当時は演奏が全く耳に残らなかったということだろう。
なんともったいないことをしたのか。
このアルバム、セカンドコレクター、もといジャズレコードコレクターになってから、改めて「興味を持ち始めた」のは、なんとなくディスクユニオンのオンラインショップを眺めていたことから。
さりげなく、サーッとオンラインショップを眺めていたら、このページ。

が目に入った。
つまり、mal waldronのleft aloneのセカンドバージョン。
今回ご紹介する盤。
で、ちらっと、「新着一覧」の中に上記レフト・アローンのページが入っていたからなにげに見てみたら、セカンド盤で確か記憶の限りでは2~3000円くらい。
それが2枚、並んでいたから、
「あまり売れないんだな。」
と見流していたんです。
すると、翌日に何気なくもう一度そのページを見てみたら、ごっそり2枚とも売り切れていました。
「え?これ、そんなに人気のアルバムなの?セカンドなのに?」
と驚愕。
興味を持ち始めました。
その後、そのページをブックマークしましたが、早々簡単に一度なくなったものが出てくるはずもなく。すっかり記憶の隅に消えていました。
しかし、何気なく、いつもお気に入りのテレビ番組、吉田類の酒場放浪記を見ていたら、下北沢の回で、立ち寄ったジャズ喫茶店でこのレフト・アローンが取り上げられていて、しかも、吉田類さんが、
「私もこのアルバム好きなんですよねー。」
と言っていたのを聞いて、
「うわ!そこまで言うならほしい!」
と思い、ちょっと本格的に探し始めました。
それがこの回。

でも、やっぱり「探し始めて見つかる」ほどジャズレコード収集の道は平坦ではなくて、やはりなかなか見つからず諦めていたら、何気なくディスクユニオンのブックマークを見直したら、ありました。
2~3000円でもすぐに売り切れていた、同じセカンド版がなんとたったの780円!
とはいえ、VG+なので、まぁ、そりゃあそう売れないよな・・・
と思っていました。
でも、まぁ、780円なら、失敗してもいいやと買ってみたのが今回の盤。
実際に聞いてみたら・・・
全く問題なし!
「どこがVG+なの?」
と聞きたくなるくらい、EX+レベルのレコード。
ノイズなし!
これで780円なら超お買い得。
何よりも音が良い。
Bethlehemのセカンドバージョンレコードって、他にもbooker little and friendも持っていて、気にっているんですけど、セカンドプレスにも関わらず音がすこぶるいいですよね。
booker little and friendは、モノラルで、今回ご紹介しているマル・ウォルドロンのレフト・アローンはステレオという違いはあれど、どちらもすこぶる音が良い。
今回のレフト・アローンで言えば、まるで目の前でピアノを弾かれているような鮮烈でクリアなピアノの音に惚れ惚れします。
きれいな音で鳴らしてくれてこれで780円なら文句なし。
たまにこういうことがあるから、ジャズレコード収集、もとい、「セカンドコレクター」はやめられないですね。
オリジナルで買ったら数万円はくだらないレコードがセカンドプレスの良音で780円なら即買いです。買ってよかったです。
肝心の演奏については私なんかがとやかく語る必要はないと思いますが、名演です。
ジャズ談義でも、
すべてのジャズファンの耳に刻まれたマクリーンのアルトサックス。説明の必要がない名盤。
マクリーン参加はタイトル曲の一曲だけ。でもその深みはすごい。一曲単位で選んだら、これがマクリーンの一番の人気作だと思う。マルのトリオ演奏も素晴らしいので、アルバム単位でA評価。(しげどん)マクリーンの参加はタイトル曲だけで残念だがそれでも名盤であることに変わりはない。マルがビリー・ホリディに捧げたタイトル曲をマクリーンはシンプルだが期待以上に吹き切る。(hand)
Jackie McLean サイド参加作 2ジャッキー・マクリーンのサイド参加作57年~59年までをレビュー。メッセンジャーズのほか、クール・ストラッティン、ブルース&ルーツ、フュエゴ と名盤揃い
と語られているように、まずマクリーン参加の一曲目からぐいっと引き込まれる。
哀愁あふれるマクリーンのテナーサックスに聞き惚れながら、マル・ウォルドロンの同様に哀愁を秘めたピアノがグサグサ胸に突き刺さる。
マクリーンが参加しているのが一曲だけなのが残念ですが、2曲目3曲目とマル・ウォルドロンのピアノが美しい旋律を奏でて、夜、明かりを薄暗くして、しっとり聴くのにピッタリ。
吉田類さんも、「このアルバム聞いたらお酒を飲みたくなりますねー。」と言っていましたが、それがわかるくらい、夜、またお酒のしっとり感に合う素敵なアルバムです。
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