なんでこんなに、美しく聞こえるんだろう・・・
Thelonious Monk – Thelonious Himself (Riverside RLP 12-235/RM 235)
盤仕様・特徴
- レーベル: Riverside Records – RLP 12-235, RM 235
- シリーズ: Riverside Contemporary Series
- フォーマット: LP, モノラル, 再発盤(ブラックレーベル・グレー文字/グレーレーベル「Orpheum Productions Inc.」表記)
- リリース年: 1965年(オリジナルは1957年リリース)
- 国: US
- ジャンル: Jazz
- スタイル: Bop, Post Bop
- 録音日・場所: 1957年4月12日・16日, Reeves Sound Studios, ニューヨーク
- プロデューサー・ライナーノーツ: Orrin Keepnews
- エンジニア: Jack Higgins
- デザイン: Paul Bacon
- 写真: Paul Weller
- レコード会社: Orpheum Productions, Inc.(ラベル下部に表記)
- 制作委託元: Bill Grauer Productions Inc.
- マトリックス/ランアウト: RLP-235A-6 Ⓜ MM / RLP-235B-6 Ⓜ MM
収録曲・パーソネル
- 全曲: ピアノ・ソロ中心、B4のみJohn Coltrane(テナーサックス)とWilbur Ware(ベース)が参加
- パーソネル:
- Thelonious Monk – ピアノ(全曲)
- John Coltrane – テナーサックス(B4)
- Wilbur Ware – ベース(B4)
- April In Paris (Harburg, Duke)
- Ghost Of A Chance (Crosby, Washington, Young)
- Functional (Thelonious Monk)
- I’m Getting Sentimental Over You (Bassman, Washington)
- I Should Care (Stordahl, Weston, Cahn)
- ‘Round Midnight (Williams, Monk)
- All Alone (Irving Berlin)
- Monk’s Mood (Thelonious Monk) – with John Coltrane & Wilbur Ware
内容・評価
- モンクのピアノ・ソロ中心のアルバムで、その独特なリズム感とハーモニーを存分に堪能できる
- B4「Monk’s Mood」ではジョン・コルトレーン(テナーサックス)、ウィルバー・ウェア(ベース)が参加し、トリオによる名演を披露
- スタンダードとオリジナルがバランスよく収録され、モンクの個性が際立つ内容
- Riverside Contemporary Seriesの名盤として、ジャズ・ファンやコレクターに高く評価されている
- オリジナル盤は1957年リリースで、本盤は再発盤(1965年頃、グレーレーベル/ブラックレーベル)
まとめ
「Thelonious Himself」は、モンクのピアノ・ソロを中心とした名盤で、Riverside Contemporary Seriesの代表作の一つです。B4「Monk’s Mood」ではジョン・コルトレーンとウィルバー・ウェアが参加し、モンクのユニークな音楽世界をより深く味わえます。1965年再発盤はグレーレーベル(Orpheum Productions Inc.表記)やブラックレーベル・グレー文字仕様で、コレクターにも人気があります。
私の持っている盤、
Thelonious Monk Thelonious Himself RLP12-235 orpheum black label
先日のディスクユニオン町田のセールに並んでゲットした成果物。
6月14日diskunion町田店 JAZZ USED VINYL SALE!!に参戦したブログ【monk himself orpheumを求めて】
朝早く並んで、しかも時間を無駄にしないために、kelly blueの記事を書きながら待った甲斐がありました。
結論から言うと、ものすごくよかったです。
先日の記事でも書いたように、盤の状態VG++だったので、少し不安でした。
後述しますが、この盤は本当に「状態の良い盤」を探すのが難しいです。
なぜなら、ソロだから。
しかも、モンク特有の「間」が多くて、少しでも傷が入っていると必要以上にノイズが目立つから。
これまで何度もそれで苦労してきました。
そういう意味でいうと、今回の盤。
つまり、オルフェウムの盤。
すごく良かったです。
ごくごく小さな周回ノイズがたまに入っている程度。
惜しむらくは、B面の3曲目で若干針飛びに近いと思われるブチというノイズが入ってくるけれど、ギリギリ針飛びではない。
少なくとも、この値段(2850円)で買えてここまで状態が良いんだからモンクない。
モンクだけに。
で、オルフェウムの評価でいうと、
よく聴くとMONOなんだけれど、左右・前後の奥行が感じられる。
モンクのピアノも演奏がよく分かるというのだろうか、一つひとつの音が有機的に聴こえ、新たな発見がある。
コルトレーンのsaxも、細部までよく聴こえる。(中略)
イロイロ聴き比べると、各々違うが、アナログとDS(CD)の音が方向は違うが、各々素晴らしいというケースが多いが、今回は、Orpheumアナログが良かった
Thelonious Himself : iPodとBOSEで聴くJazz Diaryモンクのソロピアノ最高傑作,Riverside再発で Thelonious Himself /Thelonious Monk(Riverside⇒orpheum RLP12-235)Thelonious Monk(p)、On B-4 ...
こちらのブログで書かれている、まさにその通り。音は良いです。
ちなみにこのブログの方は、
今回は、Orpheumアナログが良かった、ということはオリジナルは・・・
と、書かれていますが、たぶん、あんまりオリジナルでも変わらないと思います。
というか、以前、オリジナルに近い「青大」を持っていて(今は売った)のですが、そのときの、脳裏に蘇る音と比べてみても変わりません。
まぁ、僕の駄耳な上、直接聴き比べているわけではないので、批判は甘んじて受けますが・・・
でも、少なくとも、全然楽しんで聞く分にはOrpheum(オルフェウム)。
全く問題ないです。
価格も先日も書いたように、オリジナルの24分の1とかの価格。
だったら、しかも状態が良いんだったら、絶対にオルフェウム盤を買うのをおすすめします。
しかし、その状態の良いのが少ないんですよね。しかも同じことを考える人が多いから、めったに手に入らない。
簡単にこの盤との軌跡
やはり、レコードコレクターとなるからには、このレコードは避けて通れません。
正直、ジャズ初心者には、
「これのどこがいいの?」
と思うことまちがいなしです。
実際私も、最初はこのCD(最初は当然レコードじゃなくてCD)の良さが全然わかりませんでした。
でもレコードを収集し始めてから、だんだんとこのレコードの「収集の難しさ」を実感するようになりました。
とにかくthelonious himself。
セールなどで出品されるとすごい勢いでなくなります。
もともとlee morganやchet bakerと同じくらい日本で人気の高いmonk。
その中でも彼のソロピアノの真骨頂と言われている作品なので、それもまた当然のことなのかもしれません。
実際、オリジナル盤を買おうと思ったものの高すぎてなかなか手が出ず。
そんな折に、たまたまhals recordsさんで、出品されて、急いで注文して購入したのが5年前くらいでしょうか。
購入したのは青大でしたが、それでも7000円前後で購入した記憶があり、結構満足はしました。
・・・でもなぜかそれからしばらく経っても、聴く気が起きず放置。
で、久しぶりに聞いてみたらあるあるですが、結構キズによるノイズが目立っていました。
周回ノイズ。
他のレコードならいざ知らず、前述のようにこのレコードは、なんといっても、ソロピアノ。
とにかくちょっとのノイズもかなり目立ってしまいます。
それが眺めのキズによる周回ノイズなんか出たら聴く気しないですよね。
だから、ずっと放置してしまっていたんですね。
で、結局青大は売ってしまって、そこから何度か書い直そうとしたんですけど、本当にこれが難しい。
たまたまディスクユニオンで、このhimselfの青大だったっけな?
が出品されて、取り置き。
EX-という表記で期待していったら、深い傷があり周回ノイズで断念。
その後、HMVで青小を見つけて、同じく視聴に行ったら、冒頭1cmほどのキズでノイズ。
というかまぁ、どの盤であっても基本キズによるノイズがあったら買いませんが、それにしたって、モンクのヒムセルフは格段に状態の良い盤に出会うのが難しいです。
だけどソロピアノだから、状態の良い盤じゃないと納得して聞き続けられません。
そういう意味では今回この盤、オルフェウムですが、状態で気に納得のいく盤に出会えてよかったです。
もう一度簡単にレビュー
改めて聞き直すと、「ジャズ」を聞きたいと思った人からすると、このヒムセルフのapril in parisの入り方は衝撃的です。
ジャズはリラックスできるもの。
ジャズは浸れるもの。
そう思ってこのアルバムを聴くと、一曲目から敬遠したくなります。
場合によっては怖いと思うかもしれません。
私は正直、心にそんな記憶がありました。
でも。
改めてこうして、状態が納得いく盤で聴いてみるととても「美しく」聞こえます。
泥臭い。
モンク特有の変な間がある。
とてもこれを「ジャズ」と呼んでいいのかわからない。
だけど、夜。
明かりを落として、じっくりとそんなモンクが奏でるピアノ演奏に耳を傾けているとなぜだか美しく感じる。
なぜだか、涙が出てくる。
まるで人生の縮図のような。
内面から何かを削り出しているような真剣さと神妙さ。
そんな彼の、美しくも儚い演奏にとても魅了される。
これは。きっと。
レコードじゃないとわからない。
CDのように、電子変換された音ではわからない。
少なくともCD時代に聴いていたモンクのこのヒムセルフの印象とは大きく異なる。
もしかしたら、自分の心境の変化も影響しているのかもしれない。
でもとにかく。
やっぱりこの演奏はレコードで聴いてほしい。
レコードじゃないと伝わらないものがあると思う。
特に中でも、orpheumなど、リバーサイドのオリジナルに近い音源で聞かないと、さっきの方も言っていたような「奥行き」みたいなものは伝わらないような気がする。
再発ではこの演奏の「美しさ」や「儚さ」は伝わらないような気がする。
とにかくこの演奏。
私がこれまで聴いてきたジャズのソロピアノの中でも最も愛していきたいと思える大切なアルバムです。
もちろん、ビルエヴァンスのような、高貴で洗練された美しさがあるわけではない。
泥臭い。
だけど、だからこそ美しく感じる。
モンクの内面がことごとく表出しているように思えるから。
ぜひこのレコード、多くの人に聴いてもらいたいと思える名盤です。
コメント