【レスター・ヤングの陰影】Lester Young And His Orchestra  It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing) V8187 黒T DGなし

4.0
Lester Young

スィングしなけりゃ意味ないね。

わかってます。

2ndの2nd・・・

リプレスの3rdというのは重々承知していますが、

本人が価値を感じていればいいんじゃないですか。

と、許してください。

Lester Young And His Orchestra – It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing) (Verve V-8187 / MGV-8187)

基本情報

  • アーティスト: Lester Young And His Orchestra
  • アルバムタイトル: It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing)
  • カタログ番号: Verve Records – V-8187, MGV-8187
  • シリーズ: Clef Series
  • 音源フォーマット: モノラル
  • リリース年: 1961年(リイシュー)
  • レーベル: Verve Records(MGM Records配給)
  • ジャンル: Jazz
  • スタイル: Bop

トラックリスト

  1. Somebody Loves Me (MacDonald, DeSylva, Gershwin)
  2. Come Rain Or Come Shine (Arlen, Mercer)
  3. Rose Room (Hickman, Williams)
  4. Another Mambo (Lester Young)
  5. Kiss Me Again (Lester Young)
  6. It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing) (Ellington, Mills)
  7. I’m In The Mood For Love (McHugh, Fields)
  8. Big Top Blues (Lester Young)

参加ミュージシャン

  • Lester Young – テナーサックス

録音・制作詳細

  • オリジナル録音: Norgranレーベル MGN 1022(1950年代中期)
  • 再発: Verve/Clef Seriesとして1961年にリイシュー[3]
  • プロデューサー/監修: Norman Granz
  • カバーフォト: Herman Leonard
  • プレス: MGM Record Manufacturing Division
  • ジャケット: MGV-8187表記、ラベルはV-8187
  • マトリックス/ランアウト: Side A: V-8187 Side-1 11728 (Block-shaped “S”)、Side B: V-8187-Side 2 (Block-shaped “S”)
  • 権利協会: ASCAP, BMI

補足情報

  • Verve 8000シリーズの一環として、Clef/Norgran時代の名演を再発したもの[3]
  • カバーデザインはHerman Leonardによる写真を使用
  • 本作は1950年代のLester Youngの代表的なオーケストラ録音を集めた編集盤で、ノーマン・グランツのプロデュースによる高品位な音源が特徴
  • 「It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing)」など、スタンダードとYoungのオリジナルを収録

アルバムの特徴・評価

このアルバムは、Lester Youngのクールなテナーサックスと、ノーマン・グランツのプロデュースによる洗練されたオーケストラ・サウンドが魅力です。VerveレーベルのClef Seriesとして、Norgran時代の録音を高音質で再発したコレクターズアイテムであり、1950年代のジャズ黄金期を象徴する一枚です。

Lester Young And His Orchestra  It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing) V8187 黒T DGなし

一応、このブログは最近サイトタイトルを変更して、

「セカンドコレクター・ケンのジャズLP収集ブログ」というものになりました。

といっても、「セカンド以降の盤であればなんでもいいのか?」と言われるとそんなことはなくて、一応こだわりを持って厳選してレコードを集めています。

ブルーノートやプレスティッジであれば、「セカンド以降」といえども、基本RVGありのものを。

それ以外のレーベルであれば、「セカンド以降」といえども「音が良い」と定評のあるものを集めています。

つまり、セカンド以降の盤だからといって、何でもかんでも集めているというわけではなくて、かなりこだわりを持って集めているつもりです。

しかし、今回紹介する盤だけはちょっと別。

Lester Young And His Orchestra  It Don’t Mean A Thing (If It Ain’t Got That Swing) V8187 黒T DGなし。

プロコレクターの方が見れば人目でわかるように、セカンドのセカンド(サード)です。

言い方を変えれば、リプレスのサードです。

そういえばこれを書いていて思い出したんですけど、以前このアルバム持ってました。

5年くらい前?

そんときに、新宿のhalsレコードにこれを持っていって、買取査定依頼。

で、そこであまりにもこのレコードに値がつかなかったので、

「あれ?このレコードってこんなもんですか?」

と聞いたときに、「うん。これはセカンドのセカンド・・・もっとあとのプレスだからね。」と言っていたのを思い出しました。

そうか・・・

私は、以前売った盤をもう一度買い直したのか。

購入したのは2~3ヶ月前。

たしか、800円台だった気がするから、まぁ、別に良いんだけど。

同じレコードを持つにしても、価値を感じているときに持っているのと価値を感じていないときに持っているのとでは、全く聞こえ方が違ってくるものなんですね。

というか、正直に言うと。

5~6年前の当時は、オリジナル盤のレコードも今ほど高くはなかったので、まだ私みたいな素人コレクターでも「ギリギリ」手の届く範囲のレコードがちらほらありました。

(それでも限られたものしか入手できませんでしたが。だからこそ、今私のコレクションの中に数枚だけ完全オリジナル盤が存在していて、ちょくちょくこのブログでも紹介しています)

そんなときに、こんな「セカンドのサード」とか「リプレスのサード」とか言われると、持っている気がしなくなり、売ってしまったんだと思います。

でも今は違います。

価値を「わかった上」で購入しています。

オリジナル盤は、ご存知のように、MGN1022。

リイシュー盤は、MGV8187で、スタンパーは今回紹介する盤と同じだけど、「黄色トランペッター」です。

それから比べると、私が今回紹介する盤は本当にリプレス(じゃなくてリイシューか。そのへんの違いはあまり良くわかっていません)のサードプレイスといえます。

まぁ、いわゆるオリジナル収集マニアからすると「価値のない盤」とレッテルを貼られているかもしれませんが、私にとってはこれがいいんです。

・・・といいつつも、3ヶ月ほど前にさっきも書いたように800円くらいで購入して今に至るまで聞いていませんでした。

久しぶりに聞いて改めて思いました。

良い盤だなと。

この盤との出会いはCD時代に遡ります。

20年くらい前。私が、当時同じアルバイトの女の子が「ジャズが好き」といったことから、共通の趣味を持つために聞き始めたジャズ。

その中でも特に耳を惹かれたのはマイルスのラウンド・アバウト・ミッドナイトであり、セロニアス・モンクであり、そしてこのレスター・ヤングでした。

当時は「これがレスター・ヤング」と思っていた、演奏も、実は絶頂期のような演奏ができなくなり、仕方なくこうした、つまりテディ・ウィルソンとの演奏時期のようなゆったりとした演奏が中心になったんですよね。

当時はそれを全く知りませんでした。

で、私が20年前にCDでよく聞いていたのは、press and teddyだったりthe jazz giants56だったりだったんですけど、数年後にちょうど村上春樹が、意味がなければスイングはない

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という本を出版しましたよね。

そこから、この言葉を知り、ちょうどこの言葉を冠したレスター・ヤングの当アルバムを知りました。

(もちろん、当時は、リイシューにあわせて改題されたアルバムだなんて知る由もないし、デューク・エリントンのスタンダードナンバーをもじった本のタイトルということも知らなかった)

で、そこからCDで、何回かこの「スィングしなけりゃ意味ないね」のアルバムを聞いていました。

レコードを聞くようになってから、そんな記憶はすっかり蚊帳の外だったんですけど、3ヶ月ほど前町田のジャズレコードでたまたまこのジャケットを見て、

「おっと、これは!」

と思ったのをキッカケに、やすかったこともあり購入した次第です。

 

まぁ、そんな私とこのレコードの出会いなんて本当はどうでもいいと思うんですけど・・・

でもこのアルバム。

単純な話、

「スィングしなけりゃ意味ないね」というタイトルとは裏腹にそれほどスウィングはしません。

かわりに、レスター・ヤングの落ち着きと情緒あふれるゆったりとしたトランペットを楽しむことができます。

疲れた夜に聴くと癒やされる優しいテナーです。

ジョン・コルトレーンやソニー・ロリンズとは真逆にいるようなテナーサックスです。(少なくとも、この時期のレスター・ヤングは)。

これがいいですよね。

しかし毎回思うんですけど・・・

このverveレコードの音。

今回はもちろん、

黄色トランペッター→黒トランペッター→黒Tラベルと、いわゆるサード以降のプレスということになるのでしょうが・・・

この盤に限らず、「音の違い」というのが最もわかりにくいレーベルだと、私は個人的に感じています。

もちろん、他の盤において、いわゆる「オリジナル盤」はverveレコードで持っています。

しかしさすがに、同じアルバムで、黄色トランペッター(あるいは黒トランペッター)と黒Tラベルを持っているということはないので、直接的な比較はできません。

しかし、この黒Tラベルと、他のオリジナル盤・・・例えばpress and teddyのオリジナル盤と比べても(といっても記憶の中での比較ですが)あまり大きな音の違いがあるように感じられません。

決して、verveレーベルの音が「良くない」というわけではなくて、オリジナル盤とそうでない盤、つまり「トランペッターレーベル」と「Tレーベル」の音の違いが、私の駄耳にはあまりよくわからないんですよね。

もちろん、RVGありとなしでは顕著に違う(といっても並べて聞いたときに当てることができるのかは自信がない)のはわかりますが、columbiaにおける、CS盤とPC盤のち外のようなものなんでしょうか。

〔上〕 が CS9253 66年 オリジナル盤

〔下〕 が PC9253 77年 3rdプレス盤

この2枚のレコードは、マトリクスの末尾が「1B」「2A」と異なるので、当然別々にカッティングされたラッカー盤から作られたスタンパーによってプレスされたものということになります。

(中略)

つまり3rdプレスの「2A」盤も、音質の上で非常にオリジナル性が高いということです。

レコードの「カッティング」と「マトリクス」のこと。
Miles Davisの『Four & More』が新入荷しました。そこで、レコード盤面に刻まれた「マトリクス記号・番号」や、一流カッティング技師たちのカッティングの証しであるRVG刻印、RL刻印、DBH刻印などの話題です。

私が贔屓にしてもらっているラジオデイズレコードさんにおいてもこのような事が書かれていますし、

オリジナル自慢のコレクターにとっては、天と地との差がある様に表現するのだろうな
無理矢理に表現するとオーディオ・マニアが「ほら、変わったでしょう」
と言った途端、変わった・よ・う・に聞こえる感じる感覚に近い差かな?
確かに微妙に雰囲気は変わるが
基本的には聴き比べない限り殆どの場合
“耳あり”“耳なし”の差は【分からない】と思う
「全然違うよ!」の言葉には注意して… と言うことだ

ちょっとめずらしい?じゃず・レコード盤??? Vol.47

こちらの記事でもこう書かれているように。

個人的にはverveにおいても、黄色トランペッターか黒トランペッターか、黒Tラベルかそれほどこだわる必要はないんじゃないかと勝手に感じてしまいます。

もちろん、オリジナルやセカンドが手に入るならそれに越したことはないのかもしれませんが、音が良くて、満足できるサード以降のプレスが1,000円以内の安価で手に入るならそれでいいんじゃないかと思ったりします。

ちなみに、私は、レコードにおいて、あまり「ジャケット」はこだわりません。

もっぱらジャズレコードを聞くのは夜で、真っ暗な部屋で薄明かりをつけて聴くだけなのでほとんどジャケットを見る機会はないから(視聴中は)。

なんだったら、盤が安ければジャケットなしでも十分と思っている派です。

だけど、このレコードだけは違う。

ジャケット、最高じゃないですか?

うっとりするような、まるでジャズに命をかけてきたようなレスター・ヤングの陰影を巧みに表現しているように私には思えてなりません。

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