なんとも(収集に)困ってしまう盤ですね・・・
Clifford Brown – Clifford Brown With Strings (EmArcy MG 36005)
基本情報
- アーティスト: Clifford Brown
- アルバムタイトル: Clifford Brown With Strings
- カタログ番号: EmArcy – MG 36005
- フォーマット: LP, モノラル
- リリース年: 1955年
- レーベル: EmArcy (Mercury Record Corporation)
- ジャンル: Jazz
- スタイル: Bop
トラックリスト
- Yesterdays
- Laura
- What’s New
- Blue Moon
- Can’t Help Lovin’ Dat Man
- Embraceable You
- Willow Weep For Me
- Memories Of You
- Smoke Gets In Your Eyes
- Portrait Of Jenny
- Where Or When
- Stardust
全曲がスタンダード・ナンバーで構成されています[1][2][3][5]。
参加ミュージシャン
- Clifford Brown – トランペット
- Richie Powell – ピアノ
- Barry Galbraith – ギター
- George Morrow – ベース
- Max Roach – ドラムス
- Neal Hefti – ストリングス編曲・指揮
- ストリングス・セクション(詳細不明)
ストリングス・アレンジと指揮はNeal Heftiが担当し、ブラウンのワンホーンを引き立てています[1][2][3][5]。
録音詳細
- 録音日: 1955年1月18日、19日、20日
- 録音場所: Fine Sound Studios, New York City
オリジナル盤仕様
- 初回盤は深溝ブルー/シルバーのEmArcy「ドラマー」ロゴ・ラベル
- 裏ジャケットの印刷は青色(ブルーバック)
- コーティング・ジャケット仕様[1]
- マトリックス例:MG 36005A / MG 36005B / YMC 36005A / YMC 36005B
アルバムの特徴・評価
- Clifford Brown唯一のストリングス・アルバムで、ジャズ・トランペットのリリカルな美しさが最大限に引き出されています[1][2][5]。
- Neal Heftiによる控えめなストリングス・アレンジが、ブラウンのメロディアスなプレイを際立たせています[5]。
- 即興よりもメロディ重視の演奏が中心ですが、ブラウンの音色と表現力の豊かさが高く評価されています[5]。
- AllMusic、The Penguin Guide to Jazz Recordingsなど主要ジャズガイドでも高評価。
- 「美しいバラード集」としてジャズ・ファンのみならず幅広いリスナーに親しまれる名盤です[2][5]。
代表的な収録曲
- Yesterdays
- Embraceable You
- Willow Weep For Me
- Stardust
総評
「Clifford Brown With Strings」は、トランペットの詩情とストリングスの優雅な響きが融合した、ジャズ史に残る名作です。ブラウンの温かく輝かしい音色と、ニール・ヘフティの洗練されたアレンジが絶妙に調和し、スタンダードの新たな魅力を引き出しています。ジャズ・バラード好きやブラウンのファンはもちろん、幅広い音楽ファンにおすすめできるアルバムです[1][2][5]。
私の持っている盤、Clifford Brown Clifford Brown With Strings MG36005 銀環小ドラマー/DG/片YMG
コレクター泣かせの盤
たぶんですけど、この盤、ある意味ではかなりの「コレクター泣かせ」といえる盤ではないでしょうか。
上記の通り、私の持っている盤は、オリジナルではありません。
とはいえ、「セカンド」でもないし、オリジナルとセカンドとの間?
ちょうど、私がいつもレコード収集する際の参考にしているcotton clubさんもこのように書かれていました。
Clifford Brown with Strings
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銀縁のオリジナルが100ドルなんて安くね?と思って購入。でも届いたジャケットを見ると、裏面が黒のセカンドだった。ガッカリ。銀縁だからオリジナル、と思い込んだ自分が浅はかだった。失敗でした。Side1はYMG、Side2はMG。銀縁でもYMGじゃない盤があるとは知らなかった。でもまあいいか、いずれDUさんに買い取ってもらおう。
2016年なので比較的最近の記事ですよね。
上記のように、僕と同じオリジナルとセカンドの間と思われる盤をEbayで購入してしまい、「ガッカリした」とコメントされています。
そうなんですよね。
この盤、片面YMGで片面MGという刻印のもの。
どうして、そんな盤があるのか・・・
というか、emarcyではよくあることなんですよね。
実際、私が持っているstudy in brownも片面YMG片面MGの盤。
そのときは5000円くらいで安く買えたから良かったんですけど、
たしかにコレクター泣かせと言うか、どうしてこんな「雑」ともいえる刻印になっているのか不思議でなりません。
余談ですが、
こちらの記事でも書きましたが、getz gilbertoにおいても片面vangelder刻印があるんですよね。
本当に不思議。
片面だけvangelderが作成して、もう片面は別のエンジニアに任せたということなんでしょうか?
なんとも不思議。
でもこれならまだわかる。片面vangelderだから、片面はvangelderじゃないからvangelderがカッティングした(と思われる)面に魅力を感じる。
でも、このmg36005のように、片面YMGは果たして、そのYMG刻印がある面に価値があるのか?
はたまたブルーノートレーベルのように、例えば、片面レキシントンでも片面リバティDGなしとかだったら、単に「余ったレーベルの貼り替え」にすぎないから、別に面ごとに音質の違いがあるわけじゃない。という類のものなのか?わからない。
聴き比べても、別にYMGだから音がすごいとは、あまり思わない。
正直。でも、夜にこのレコードを聞いて、当然最後のB面を聞き終わって、朝に、ボリュームのつまみを見てみたらかなり小さいところ(7時半くらい?)まで下がっていたので、B面はやはり音が大きいのかよいのか、わからない。
後述しますがこの盤に関しては以前、一度だけ両面MG銀環なし小ドラマーラベルの盤を買ったことがあったけど、記憶の中で比べるとさほどさがない気もする。
もう少し言うと、一度late赤ラベルいわゆる「7ロゴ」のプレス
も持っていたことがあるんですけど、少なくともこの7ロゴの盤とは明らかに音が違う。
いや、決しておの7ロゴバージョンも悪くはないです。相場は2~3000円くらいで、だいたい状態もよく、十分クリフォード・ブラウンの「泣きのトランペット」を味わうことができる。
だけどどうも、リマスターされていると言うか、なんか「作られた音」という感じがします。
言葉で表現するのは難しいのですが、7ロゴのプレスには音の「温かみ」が感じられませんでした。
あくまでも個人の感想です。繰り返しになりますが演奏そのものを楽しむのであれば全然7ロゴで十分だと思うのですが、クリフォードブラウンの染み入るようなトランペットを、音の暖かさを堪能したいんだったら、やはりMGスタンパー小ドラマー以上は必要なんじゃないかと思います。
ちなみに私は、いわゆる青ovalと言われる盤とは縁がなかった、
んですけど、どっかのブログで、この青ovalはあまり音が良くなかったと書かれていました。
でもスタンパーが一緒だからさほど変わらないはずだとは思うんですけどね・・・いつか安価で手に入ったら聴き比べてみたいと思います。
とにかく、この盤は、コレクター泣かせだと思います。
音とこの盤との出会い
で、肝心の音についてですが。
すごいです。
さっきも書きましたが、この盤。
以前に、diskunion jazz tokyoで、一瞬だけ「小ドラマー銀環DGなし」を手に入れたことがあります。
あまり価格は覚えていないけど2万円前後?
まぁ、相場よりちょっと高いくらいだと思います。
そのときに、このレコード
も一緒に買ったんですけど。
で、そのときに、先輩コレクターの宮◯さんに、僕が手に取ったいくつかの盤を見てもらい、精査してもらったんですけど、そのときにこのクリフォード・ブラウンウィズ・ストリングスを見てこうおっしゃいました。
「まぁ、価格としてはこんなもんだろうね。でもこれ、同じような演奏ばっかり続かない?」
と言われ、少し気落ちしました。
私としては、以前からほしかった。
けど、値段が高くて手が出せなかった。
でも、jazz tokyoのセールで出品されることを知り、これを狙い目にきて、ようやくこれを奪取することができたものだから、少し気分は舞い上がっていたんです。
そこで、そう言われたものだからほんの少しだけ気落ちしました。
でももともとほしいと思っていた盤だし、なんとなくはその先輩コレクターの仰ることも「わかってはいた」ことなので、それほど影響されたわけではありません。
少し悩んだ挙げ句、結局その「小ドラマー銀環なしDGなし」の盤を購入しました。
・・・しかし。家に帰って聞いてみると、静かな部分でチリチリとノイズが・・・
いや、レコードなので、多少のチリチリノイズなら許せるんですけど、「周回ノイズ」のように、同じ箇所でノイズが入ってしまい、どうしても気になってしまい、結局すぐに手放すことになってしまいました。
それでしばらくは、「この盤とは縁がなさそうだな・・・」
と思い、頭から抜け落ちていました。
その後、しばらく仕事が忙しくなったこともあり、レコードから遠ざかっていて、ちょっと落ち着いたときに、何気なくディスクユニオンのオンラインショップを見ていたら、今回購入したこの盤がオンラインで出品されていました。Clifford Brown Clifford Brown With Strings MG36005 銀環小ドラマー/DG/片YMGの盤です。
いきなり購入したわけではありません。
オンラインで見つけてからずっと気になってはいたものの、値段も安くはない(25000円くらい。まぁ、片面YMGの相場です。オリジナルの両面YMGは5万円以上する。でもそれだけの価値はあるのかな・・・?と素人コレクターのわたしはすっごく失礼ながらそんな事を考えてしまう)のでしばらく悩んでいました。
でも、1週間2週間と見ていても、売り切れない。
もうさすがにないだろうと1ヶ月後くらいに見てみてもまだ残っている。
「もういい加減、この盤のことに頭を悩ませるのは嫌だ・・・」
と思い、挙句の果てに結局購入してしまいました。
で、いざ買った盤を聞いてみると、状態はすこぶる良いです。
さっきも書きましたけど、以前このレコードの両面MG・DG盤では、音はそれほど不満はなかった(ように記憶している)けれども、状態が気になった。静かな部分でチリチリと、しかも周回ノイズのように雑音が入った。
でも今回購入した盤にはそれがありませんでした。
両面YMGと片面YMG、両面MGスタンパーの音の違いは正直それほどわかりませんが、少なくとも静かな演奏が中心なので「オリジナルに近くノイズが入らない(あるいは少ない)」のがベストだと感じます。
そういう意味ではこのレコード、決して安くはないけれど、「clifford brown with stringsを聴く」という意味では良い買い物だったんじゃないかと思います。
音は良いです。
繰り返しになりますが、両面YMGスタンパーと比較したことはない(ちなみに小ドラマーで両面YMGスタンパーもあるみたいだから本当に切りが無いと言うか奥が深いと言うか・・・)
でも十分にクリフォード・ブラウンの泣きのトランペットを楽しむことができます。
両面MGと直接比べたわけではないのですが、十分音はいいです。
でもMGの面とYMGの面との違いはそれほどわかりません。
ただ正直、確かに以前先輩コレクターが教えてくれたように、何回も聞いていると「同じような演奏が続く」ように感じられるので、そのうちお腹いっぱいになりそうですけど・・・
これまた他のブログで誰かが語っていたことですが、「疲れたときに聴くと癒やされる」とても優しいアルバムだと思います。
ちなみに、普段、ジャケットは気にしない私ですが、discogsで
The cover shown here is not from the correct 1. pressing. The original 1. press cover has a blue back.(ここに掲載されているカバーは、正しい第1刷のものではありません。オリジナルの第1刷のカバーは裏面が青色です。)
と書かれていたので、見てみたら一応青色印刷のジャケットでした。

でもだからなんなのか、イマイチわからない(興味が持てない・・・)
中途半端なコレクターだと、重鎮コレクターに笑われそうですね。
色々書きましたけど、この盤がほしいなら、少しでも安くほしいなら、だけどオリジナルに近い音で楽しみたいなら、両面MGスタンパーでも別に良いんじゃないかと思います。(極論青ovalでも?聞いたことがないからわからない)
だけど、問題は状態。全体的に静かな演奏が続くので状態が悪くノイズが出たらこの盤には「価値がない」とすら考えています。
両面MGスタンパーでも良いから状態の良い盤(周回ノイズが3回以上入らない盤)を探すのがおすすめです。
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