1曲目からとても美しい名盤。
だけど人気ない・・・
Billy Taylor Trio – Billy Taylor Trio Vol. 2 (Prestige LP 7016, 1955)
盤仕様・特徴
- リリース年: 1955年
- レーベル: Prestige – LP 7016/PRLP 7016
- フォーマット: LP, コンピレーション, モノラル, リマスター盤
- プレス: USオリジナルはイエロー/ブラック「ファイヤーワークス」ラベル(Prestige初期の標準仕様)、両面ディープグルーヴ(Deep Groove, DG)、プレス工場はAbbey Record Manufacturing Co., Inc.
- ラッカー盤カッティング: Rudy Van Gelder(RVG刻印あり:Side A手書き、Side B手書き+スタンプ)
- マトリックス/ランアウト: Side A: PRLP-7016-A RVG(手書き)/Side B: PRLP-7016-B-I, RVGスタンプ(刻印A AB両面あり)
- ジャケット: Prestigeファイヤーワークス期独特の厚手コーティングジャケット
- ライナーノーツ: Ira Gitler
パーソネル
- Billy Taylor – ピアノ
- Earl May – ベース
- Charlie Smith – ドラムス
トラックリスト
- That’s All (Bob Haymes)
- The Little Things That Mean So Much (Harold Adamson, Teddy Wilson)
- Nice Work (George & Ira Gershwin)
- The Surrey With The Fringe On Top (Rodgers-Hammerstein)
- Cool And Caressing (Billy Taylor)
- Tenderly (Walter Gross)
- I’ve Got The World On A String (Harold Arlen)
- The Bird Watcher (Billy Taylor)
- Who Can I Turn To (Alec Wilder)
- My One And Only Love (Guy Wood)
- B.T.’s D’T.s (Billy Taylor)
この盤特有のポイント・コレクター情報
- Prestige初期のオリジナル仕様: ファイヤーワークスラベル、両面ディープグルーヴ、RVG刻印はコレクター判別ポイント。
- マトリックス刻印やA AB刻印(Abbeyプレス)の有無も精度高い初期判別指標。
- ジャケットはPrestige定番の厚紙+コーティング仕様。
- ジャズ・ピアノトリオ黄金期の隠れた名盤として、ピアノトリオ・ファンやPrestigeコレクターからも高評価。
内容・評価
- ビリー・テイラーの流麗でスウィンギーなピアノ、名手アール・メイ&チャーリー・スミスの手堅いリズム隊による王道トリオ。
- スタンダードとオリジナルのバランスがよく、小粋で都会的なクールジャズ~バップの雰囲気を堪能できる。
- 録音はRVGによるPrestige伝統のアナログならではの臨場感に優れる。
- 過度な華美さはないが、品の良い、旋律・リズムの上品な仕上がりがピアノトリオ・ファンに支持されている。
まとめ
『Billy Taylor Trio Vol. 2』(Prestige LP 7016)は、ファイヤーワークスラベル、両面ディープグルーヴ、RVG刻印&AbbeyプレスによるPrestige初期の決定的仕様。ビリー・テイラーの洗練されたピアノと職人リズム隊による、スタンダード&オリジナルをバランス良く収めたクールで上品なピアノトリオ名盤です。コレクターズアイテムとしても今なお高い人気を持つ1枚です[1][2][3]。
私の持っている盤、Billy Taylor Trio Billy Taylor Trio Vol. 2 PRLP7016 手書きRVG オリジナル
今回ご紹介するのは、世間的にはあまり人気がない、billy taylor trioのボリューム2。
ご存じの方いるのかな?
と思うくらい。
だけどそれは言いすぎな盤。
だけど個人的には、やっぱり好きだなと思う名盤。
もともと、持っていました。
かなり前、4年位前?diskunion jazz tokyoでゲットしてずっと持っていたんですけど、
なぜかあまり聞く機会に恵まれませんでした。
そういうのは、だいたい同じ理由なんですよね。
久しぶりに聞いてみたら、状態が悪く、特に1曲目から、おそらく、「プレスミス」によるものか、絶えず周回ノイズ・・・いや、正確には「カゼヒキ」の状態でした。
毎回思うんですけど、「カゼヒキ」の定義がわからないんですよね。
その名の通り「ゴホゴホ」している盤かと思ったら、そうじゃなくて、
違うような状態もカゼヒキと言われたりする。
具体的な定義はわからないんですけど、私の以前持っていた、この盤もきっと「カゼヒキ」だったのではないかと思います。
2025年はじめに、行きつけの名古屋のレコード店、radio days recordsに行ったときに売ってしまいました。
もちろん、ちゃんとカゼヒキであることはお伝えした上で。
でもお店としては、「これくらいなら問題ないですよ。」ということで快く買い取ってくれました。
私はどうしても駄目でした・・・確かに、人によってノイズも、カゼヒキも「耐えられる程度」というのは異なりますからね。
で、売ってしまったものの、やはり気になっていた、Billy Taylor Trio Vol. 2。
なぜなら、演奏としてはすごく好きだから。
多くの「ジャズレコードマニア」からすると、きっと「つまらない」、「単調」と思われるのかもしれません。
でも私にはどうしてもわかりません。
とても美しいピアノトリオの演奏じゃないでしょうか。
昨日、改めて聞いて思ったけど、一曲目からガツンとやられる美しい旋律。
「ガツンと」っていうのは全く不釣り合いなほど、本当に心が洗われるようなピアノの演奏。
個人的には・・・
もちろん、ビル・エヴァンスのwaltz for debbyは、名盤として、私自身も好きですが、それに匹敵するくらい美しい時と場合によってはより良いとすら感じることもある名盤だと思います。
一音一音が本当に美しい。
流麗。
心休まる洗われる本当に良い盤だと思います。
アルバム全体を通すと、確かに、こうした「流麗な曲調」ばかりだといわゆる「カクテルピアノ」と揶揄されるかもしれませんが、決してそうした落ち着いた曲ばかりではなくて、アップテンポの曲もあり、聞き手を飽きさせない工夫もしっかりと施されていると感じます。
実際、最後の一曲[B.T.’s D’T.s]なんかはかなりアップテンポな曲。
waltz for debbyにおける最後の曲がmilestonesで、少し早めの曲に近いのでしょうか。
でも、waltz for debbyと違うのは、このアルバム。つまり「Billy Taylor Trio Vol. 2」。
コンピレーションアルバムであるという点。
もともと10インチで出されたアルバムを12インチで出している。
もちろん、曲目などは変えたうえで。
でもとにかく、10インチ用に作られたアルバムなので、1曲1曲が短く、無駄な長回しがない。
そのため、聞き飽きづらい。
今この記事を書いていて、流れている曲(たぶんnice work。3曲目)も急にアップテンポの曲。
これもいいじゃないですか。
カクテルピアノみたいにならなくてちょうどよい選曲だと思います。
このアルバムの入手経緯
このアルバム、さっきも書いたように、一度状態が悪く(カゼヒキ?)手放したものの。
ずっと気になっていました。
ちょいちょい、ディスクユニオンで出品はされるけれど、1万円前後の場合が多く、どうしても触手が伸びませんでした。
そんな折に、ふとディスクユニオンのオンラインリストを見ていたら、このアルバムがオリジナル盤で2850円で出品されていました。
えー・・・!!
2850円?
確かに、日本では、人気が圧倒的に低い、プレスティッジのオリジナルアルバム。
プレスティッジのオリジナル盤で、つまり、手書きRVGの盤であっても1万円前後と比較的手頃な価格で手に入りやすいアルバム。
全体的な市場の傾向を見る限りでは、「どんどん価値が下がっている」と思えるアルバムですが、でもいくらなんでも、オリジナル盤で2850円は安すぎでしょう。
状態がVG++と心配ではあったものの、でもまぁ、2850円なら、正直「失敗してもそれほど痛手ではない」と思い、思い切って注文してみました。
で、実際に届いた盤を聞いたのがこちら。
どうです?
問題なくないですか?
確かにごくごく小さなプチプチというノイズが2曲目の後半から3曲目の冒頭辺り、少し「スレ」があるあたりでなるものの、決して演奏を邪魔するような大きなノイズではありません。
その他、全体を通しても、決して針飛びや周回ノイズはありません。
というか思い出しましたがこのレコード。
購入前に、店舗に状態をメールで確認したんですよね。
A3A4にスレがあり時々小さく拾いました。
そのほかエッジに軽いソリがありますが、再生に影響はございません。
全体通して大きいノイズや針飛びは無い見立てです。
との報告で、まさにそのとおりでした。
うーん・・・
いや、っていうか、なんでこの状態でこのオリジナル盤がこの価格で売られていたのか。
そして、なんでこの価格で売れ残っていたのか。
本当にわけがわからない。
というか、かなりジャズレコードの市場が鈍化してきている感じがする。
こんなの、2~3年前(コロナ禍?)もしくはその前とかだったらすぐに売り切れていたような盤。
なんで本当にこの盤が残っていたのかわからない不思議な盤です。
でもずっと「状態の良い盤」がほしいと思っていた盤なので、変えてよかったです。
やはり、可能であれば事前に店舗にメールで状態を確認することは大事ですね。
良い買い物ができました。
追記。
ちなみに、最後の曲の1曲前。
B4の「My One And Only Love」は本当に名演。
これだけでも聞いてほしいし、それ以外も美しい曲続きでジャズ好きの人にもそうでない人にもぜひ聞いてみたいおすすめのジャズピアノトリオアルバムです。
オリジナルじゃなくてもセカンドでも十分お買い得だと思います。
ちなみにdiscogsによると、このジャケットはセカンドなんだけどな・・・
ディスクユニオンではオリジナルとして扱われていました。
まぁやすかったから問題ないんですけど。
やっぱり、billy taylor,好きだなと思えるアルバムです。
コメント