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【次元を超越した快演】Cannonball Adderley Quintet In Chicago MG20449 DG USオリジナル

4.5
Alto Saxophone

快作。間違いなく名盤と言えるでしょう。

この記事を書いた人

  • ケン

    私自身の苦い後悔を原点に、「レコードの価値を未来へ繋ぐ」という信念で、一枚一枚の記事を執筆しています。収集の喜びも、売却の知識も。セカンドコレクターとして全力で文章を綴ります。 → プロフィール

Cannonball Adderley Quintet – In Chicago(Mercury MG 20449, 1960年USモノラル盤)

盤仕様・特徴

  • リリース年:1960年8月(録音:1960年、シカゴ)
  • レーベル:Mercury – MG 20449(US盤、モノラル仕様)
  • フォーマット:LP, Album, Mono
  • ジャケット:ステレオ盤はフロントに「STEREO」表記、本モノ盤は下部に「Custom HIGH FIDELITY」と表記される。
  • プロデューサー:Jack Tracy
  • アートワーク:Peter Gourfain
  • 録音背景:同時期のMiles Davis Quintet人脈(Adderley、Coltrane、Kelly、Chambers、Cobb)が集結した特異な編成。後のMiles Davis『Kind of Blue』のメンバーが再集結した記録ともいえる。
  • マトリクス・ランアウト:
    • サイドA:MG 20449A MS1(刻印)
    • サイドB:MG 20449B MS1(刻印)

パーソネル

  • Cannonball Adderley – アルトサックス
  • John Coltrane – テナーサックス(A1, A3–B3に参加)
  • Wynton Kelly – ピアノ
  • Paul Chambers – ベース
  • Jimmy Cobb – ドラムス

トラックリスト

  1. Limehouse Blues(Douglas Furber, Philip Braham) – 4:40
  2. Stars Fell On Alabama(Frank Perkins, Mitchell Parish) – 6:14
  3. Wabash(Julian “Cannonball” Adderley) – 5:47
  4. Grand Central(John Coltrane) – 4:30
  5. Weaver Of Dreams(Jack Elliott, Victor Young) – 5:33
  6. The Sleeper(John Coltrane) – 7:17

録音:1960年、シカゴ。

この盤特有のポイント・コレクター情報

  • Cannonball AdderleyとJohn Coltraneの双頭フロントによる数少ないスタジオセッションを記録したアルバム。
  • Miles Davis Quintetからの派生セッションとしての位置付けが強く、『Kind of Blue』同様のリズム・セクション(Kelly–Chambers–Cobb)を起用している点が注目される。
  • Coltraneはこの直前にAtlanticでのリーダー作『Giant Steps』を完成させており、本盤では硬質なテナーがAdderleyのソウルフルなアルトと鮮やかなコントラストを成している。
  • MercuryレーベルからのUSオリジナル・モノラル盤は、ジャケット下部に「Custom HIGH FIDELITY」表記が入る点が識別ポイント。ステレオ盤との差異でコレクター間では評価が分かれる。
  • 「Wabash」(Adderley作)や「Grand Central」「The Sleeper」(Coltrane作)といったオリジナル曲が両者の作風の違いを端的に示しており、歴史的に重要な共演記録とされる。

まとめ

『In Chicago』(Mercury MG 20449, 1960年モノラル盤)は、 キャノンボール・アダレイとジョン・コルトレーンがフロントを務め、マイルス・デイヴィス黄金リズム隊を伴った貴重なセッションを収めた作品。 モダン・ジャズ史における転換期の証言盤であり、Mercuryジャズ・カタログの中でも特に評価が高い一枚である。

情報元Discogs URL:

https://www.discogs.com/ja/release/2672385-Cannonball-Adderley-Quintet-In-Chicago

私の持っている盤、Cannonball Adderley Quintet  In Chicago MG20449 (たしか)DG USオリジナル

はじめに断っておくと、私はマーキュリーのオリジナルの判定基準にあまり詳しくありません。

一時期に熱狂的に調べたことがあったのですが、やはりどうしてもブルーノートやリバーサイド、プレスティッジに比べれば情報が少ない上、それほどマーキュリーやエマーシーの盤でほしいと思える盤がないこともあって、結局知識の収集を諦め、それと同時にそれまで集めてきたオリジナルの判定基準などの知識も、頭から少しずつ消え去っていきました。

そのため、今回ご紹介している、quintet in chicagoも、確か4年くらい前に「オリジナル」という触れ込みで買った記憶があるのですが、オリジナルかどうかいまいち自信は持てません。深溝もあるのでたぶん、オリジナルだとは思うんですけど、でもセカンドコレクターである私には正直どちらでもいいことです。

たまたま一時期、ジョン・コルトレーンの収集にハマっていて、そのときに、

「quintet in chicagoのコルトレーンは良い」

という触れ込みをどっかでみて探し回りました。

新宿ジャズ談義の評価もその一つだったかもしれません。

オーソドックスなハードバップ期最後の盤。キャノンボール名義ではあるが、実質は親分マイルス抜きの肩の力の抜けたコルトレーン、ケリー達とのジャムセッション的な盤だと思う。音質はこの前後で一番いい。名盤というより楽しめる盤だと思う。

Cannonball ADDERLEY 主要作品 ディスクガイド:リーダー作編 2 1959年~1960年
キャノンボール・アダレイの死因は・・・脳梗塞ということです。

でもなぜか、コレクターあるあるだと思うんですけど、

「ほしいと思っていないとき」はいつでも見るのに、「ほしいと思う」と手に入らなくなるのが、ジャズレコードの宿命。

quintet in chicagoも、欲すれば欲するほど、全然手に入らず苦労しました。

正確には、今思い出しましたけど、今回ご紹介するquintet in chicagoの前に、同じアルバムをもう一枚、持っていたのですが、そちらは周回ノイズが気になって仕方なかったので確かヤフオクで手放した記憶があります。

そう。これ以外と、「状態の良い盤」を見つけるのに苦労した記憶があります。

で、ようやくディスクユニオンで、状態に納得の行くオリジナル盤を手に入れたのが今回ご紹介するレコード。といっても入手したのは前述のように3~4年前ほど。

入手した当初は嬉しくて、何回も何回も聞き返しましたが、しばらくするとその感動も薄れて、数あるレコードの一枚に成り下がってしまうものです。

そんなこんなで、しばらく聴いていなかったのですが、久しぶりに手に取りターンテーブルにのせてみたのが昨日の話。

圧巻。

「いやぁー・・・すごいな、このアルバム。」

スマホを見ながらレコードを聞いていた手を止めて、ついその演奏に耳を傾けてしまいました。

新宿ジャズ談義では、

キャノンボール名義ながらコルトレーンの参加を重視する向きが多いが、私はキャノンボールが最高に輝いている一枚だと思う。

Cannonball ADDERLEY 主要作品 ディスクガイド:リーダー作編 2 1959年~1960年
キャノンボール・アダレイの死因は・・・脳梗塞ということです。

との声がありますが、ワタシ的にはジョン・コルトレーンの「圧倒的に完成されたテナーサックスに打ち震え」ました。

溢れ出る情熱をほとばしらせながら吹くジョン・コルトレーン。

かといって、フリージャズのように行き過ぎることなく、まるでちゃんと聞く人のことを考えているかのような、ちょうどよい、ギリギリの塩梅で、その熱い思いをテナーに載せる。

本当にギリギリのラインで、行きすぎず、戻りすぎず。熱しすぎず冷めすぎず。

まさに「最高のコルトレーン」を聴くことができます。

中でも、B面2曲目の「Weaver Of Dreams」ではキャノンボール・アダレイ名義のアルバムなのに、なぜかジョン・コルトレーンのソロでの演奏。

しかしこれが凄まじい。

聴いていてこれほど胸が熱くなるジャズレコードもないんじゃないか?

と思えるくらい、ジョン・コルトレーンが乗っている。

乗っているけれどノリすぎない。

気持ちを、しっかりとテナーに乗せて心揺さぶる演奏を続けている。

美しい。だけど情熱的

本当に嬉しい限りの名盤だと思います。

で、あとになってわかったんですけど、

Coltraneはこの直前にAtlanticでのリーダー作『Giant Steps』を完成させており

なるほど。

あのジョン・コルトレーンの「転換点」となった作品と言われるgiant stepsのあとに出した作品なんですね。

正直、giant stepsはもちろん、すごいアルバムではあるんですけど、ちょっとジョン・コルトレーンが早すぎて、発想がすごすぎて、奏者も聴者も置いてけぼりになっている印象もなくはない(久しく聴いていないのでちょっと今度聞いて再度感想を述べようと思いますが)のですが、このquintet in chicagoでは、さらに一皮むけて落ち着いたコルトレーンを聞けます。

それでいて、溢れ出る情熱はそのまま。

ドラゴンボールで例えると、giant stepsで超サイヤ人になったジョン・コルトレーンが、quintet in chicagoで、精神と時の部屋に入り、超サイヤ人でいることを当たり前の状態にしたような。

そんな、超越した次元を感じます。

とにかく最高のアルバムで、もちろん、キャノンボール・アダレイもウィントン・ケリーも、ジミー・コブも、ポール・チェンバースも良い。

マイルスがいない分、なにかから解放、解き放たれて、超次元の演奏になっているように感じます。

たぶん、ですけど、このアルバム。ジャケットで損していますよね・・・

なんか軽い印象を受けてしまいますけど、中身は濃厚、超越した次元の快演を聴くことができます。

音も抜群。十分に、コルトレーンやアダレイのサックスの音を部屋全体に優雅に届けてくれる良盤。

ぜひ状態の良いオリジナル、もしくはセカンドで手に入れてほしいです。

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