ようやく手に入ったこの一枚。
あー、長い道のりだった。
アルバムの感想よりもそっちの印象のほうが強い。
Hank Mobley – No Room For Squares(Blue Note BST-84149, 1977年USリイシュー・ステレオ盤)
盤仕様・特徴
- リリース年:1977年(録音:1963年3月7日[A3, B3]/10月2日[他曲])
- レーベル:Blue Note – BST-84149(1970年代再発盤、ブルーラベル/白“b”ロゴ仕様)
- フォーマット:LP, Album, Stereo, Reissue(米国盤ステレオ/1977年プレス)
- ジャケット:オリジナルアートワークを再現した現代的な厚紙ジャケット。再発盤は比較的明瞭な印刷品質。
- レコード会社:United Artists Music And Records Group, Inc.
- 録音:Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey(ルディ・ヴァン・ゲルダーによる名門スタジオ録音)
- マスター:ラッカー・カット・バイ:Van Gelder(刻印入り“VAN GELDER” & “STEREO”ランアウト)
- 盤表記:ブルーラベルに白抜き“b”、1970年代の再発特有のデザイン。
- 音質傾向:Van Gelder Studio録音らしい肉厚かつ芯のあるサウンド。リイシュー盤はオリジナルよりややハイ上がり傾向もあるが、パート分離が良好。
パーソネル
- Hank Mobley – テナーサックス
- Lee Morgan – トランペット(A1, A2, B1, B2)
- Donald Byrd – トランペット(A3, B3)
- Andrew Hill – ピアノ(A1, A2, B1, B2)
- Herbie Hancock – ピアノ(A3, B3)
- John Ore – ベース(A1, A2, B1, B2)
- Butch Warren – ベース(A3, B3)
- Philly Joe Jones – ドラムス
- プロデューサー:Alfred Lion
- 録音/ラッカーカット:Rudy Van Gelder
トラックリスト
- Three Way Split – 6:07
- Carolyn – 5:57
- Up A Step – 6:44
- No Room For Squares – 6:53
- Me ‘N You – 6:43
- Old World, New Imports – 7:51
作曲:Hank Mobley(A1, A3, B1, B3)、Lee Morgan(A2, B2)。録音日:A3, B3は1963年3月7日、他は1963年10月2日。
この盤特有のポイント・コレクター情報
- 1970年代Blue Note再発盤:オリジナル盤と異なり、ブルーラベルに白抜き「b」マーク、United Artists傘下時代の仕様が鑑別ポイント。
- オリジナルBST-84149は1963年リリース。再発盤はオーディオ的にクリアな特性だが、初期盤特有の肉厚さは異なるとの定評あり。
- 2つの録音セッション(3/7, 10/2)でピアニスト/トランペッター/ベーシストの編成が変わるため、曲ごとにアンサンブルのキャラクターが異なるのが特徴。
- Philly Joe Jonesのシャープなドラミング&Hank Mobleyの柔らかなブロウが生むハードバップの極み、特に「Up A Step」「No Room For Squares」は代表曲。
- “VAN GELDER”“STEREO”刻印のランアウトグルーヴはコレクター間で信頼性高いプレス証跡。
まとめ
『No Room For Squares』(Blue Note BST-84149, 1977年USリイシュー盤) は、Hank Mobleyのハードバップ・テナー黄金期の録音であり、両セッションのメンバー入替が作品に多彩な色彩を加えている。Van Gelder Studioの代表的サウンドとともに、1970年代Blue Note再発盤ならではの特徴とコレクション価値が備わった一枚。
情報元Discogs URL:
私の持っている盤、Hank Mobley No Room For Squares BST84149 USステレオ盤 VANGELDER刻印
冒頭からの繰り返しになってしまいますが、正直この盤、「ようやく手に入った」という印象のほうが強いです。
なにせこの盤、いや、正直、モノラルだろうとステレオだろうと、「オリジナル」だとまだ比較的手に入りやすいんじゃないかと思います。
その代わり、やはりモブレーとリー・モーガンの共演盤、さらにドナルド・バードもいるということもあって(それがむしろ少し評価を下げている?)オリジナルは高価。
最低でも3万円以上はするでしょう。
で、問題は私みたいなセカンドコレクターはそうした 、「オリジナル盤」にはてんで興味がない。
vangelder刻印ありのセカンド、サード盤で安く買い揃えるというのが一番の目的となります。
しかしそれが、まぁ大変。
思い返してみると、
【奥深さを堪能】Chet Baker – Polka Dots And Moonbeams JLP88
この記事でも書いたのですが、

このときのセールに参戦したときに、たまたま手に取ったときに買っておけばよかったのですが、
このときは、chet bakerの「chet」のアルバムですでに1万円超えのレコードを買ってしまったので、なくなくこのときに手に持った、No Room For Squaresを手放してしまいました。
しかしその後に、「リーモーガンとの共演盤」であることを知り、後悔。
そこから何度もずっと探し続けたものの、なかなかセカンド盤では入手する機会がありませんでした。
もちろん、ちょくちょくは、ディスクユニオンのセールで出品されたりするのですが、そのセール内ですぐに売り切れてしまったり、もしくは、オンラインで出品されたとしてもすぐに誰かに競争で買われてしまって手に入らなかったり。
とにかくこのNo Room For Squares。
セカンド以降の盤で、しかもvangelder刻印入を見つけるのが非常に難しいです。
正確には購入するのが難しいです。
今回の入手経緯
で、そんな、これまで入手に苦労してきた、No Room For Squares。
どうやって入手できたかと言うと、いつものようにオンラインショップ。
オンラインショップを覗いてみたら、たまたま出品されていて焦る思いで、店舗受取で購入。
購入した当初は、

このような触れ込みで購入しました。
「盤スレ(音にほぼ影響なし)」
うーん、かなり不安があったものの、実際に店頭で試聴してみたら確かに音に影響がなかったので購入。
かなりお買い得に手に入れることができてよかったです。
通常これ、7000円以上するので。
5000円以内で買えたのはラッキー。
しかしコレクターあるあるの話しですが、
「ほしい」と思っているときは本当にとことん手に入らないものですが、
別に探していないときには案外あっさりと見つかってしまうのが本当に不思議なものだと感じます。
実際に聞いてみて
で、実際に買ったこのNo Room For Squaresの感想。
やっぱりvangelder刻印ありのブルーノートはすごいなと改めて痛感させられる。
音がすごいです。
音の粒がはっきりと、粒じゃなくて、圧として耳に迫ってくる。
この頃のVANGELERは、もうステレオレコードも完全に制圧しているので音のバランスもすごく良い。
音として楽しむのであれば、ものすごく良いです。
そして演奏そのものも、やはりモブレーも絶頂期に近い(確か、ときめき三部作のちょっとあとくらいじゃなかったっけ?)だけあり演奏もノリノリ。
リー・モーガンもやっぱりいい。
このモブレーとリー・モーガンの共演だけで、ものすごい価値のあるアルバムです。
しかし・・・
新主流派的なモーダルなバックとモブレー、やはり合ってないと思う。この路線の先にあるのは引退、となる。作品として悪くはないのだが、モブレーが浮いている気がする。
Hank Mobley: ハンク・モブレー 主要リーダー作 CDレビュー 2新宿ジャズ談義の会:ハンク・モブレー CDレビュー 目次 ・ハンク・モブレー おすすめCDベスト5 ・ハンク・モブレー 主要リーダー作 1 1957年まで ・ハンク・モブレー 主要リーダー作 2 1958年から1964年頃まで・・・このペー...
この意見は激しく同意します。
うーん、やっぱりバッキングの問題なのか。
ハービー・ハンコックやアンドリュー・ヒルなど。
単体で見ると演奏はすごく良い。
ハービー・ハンコックのピアノなんて、「さすが」と唸ってしまう。
特に最後の、Old World, New Importsなんかは、ハービー・ハンコックのピアノは圧巻。
ですが・・・
うーん、そうなんですよね。新主流派のバックがちょっと雰囲気としてあってない。
確かに、此処から先は、どんどんジャズ・ロック路線が強まっていくので、
次作からジャズロック路線が強まっていく。これが最後のハードバップ優良作かもしれない。
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最後のハードバップ作品としてとても貴重。
だけど、うーん・・・
繰り返しになりますが、演奏者それぞれの単体のプレイとしてみるとやはり百点満点に近いんですけど、アルバム全体のできとして考えると、やはり新主流派を取り入れたことで、なんだか少し違った形になってしまっているようにします。
ということで。
いつものことですが、やはりこのアルバムも・・・
「セカンドやサード以降のvangelder以降の盤」で購入するならしかも価格が1万円以内なら十分買う勝ちはあると思うんですけど、1万円以上のセカンドサードやオリジナル盤で焦って買うほどのものではないと感じてしまいます。
あくまでも素人の私の意見です。
でもだからこそ、モブレーとリーモーガンの共演盤であるにも関わらず、ピッキンタイムほどの高価ではないんでしょうね。

ジャズ・ロックに片足を突っ込んだギリギリのハードバップという印象を受けてしまいます。



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