こんなアルバム、知っている人いるんですかね・・・
ディープなジャズレコードファンは、一見して無視するであろう盤。
だけどやっぱり、名盤だわー。
Lucky Thompson – Soul’s Nite Out(Ensayo ENY-35, 1971年スペイン盤)
盤仕様・特徴
- リリース年:1971年(録音:1970年5月1–2日、バルセロナ)
- レーベル:Ensayo – ENY-35(Serie JAZZ (3)シリーズ。スペイン産ジャズ専門レーベル)
- フォーマット:LP, Album(12インチ。モノラルまたは初期ステレオ仕様と推定)
- 製造情報:Discos Ensayo, S.A./Ekipo, S.A.(販売)/COFASA(製造元)/Llorach Audio, S.A.(制作委託)
- ジャケット:表紙写真およびスリーブ撮影:Luis Viñas。裏ジャケットにAlberto Mallofréによるライナー付き。
- ラベル/マトリクス:
- サイドA:850 ENY 35✳A✳1
- サイドB:850 ENY 35✳B✳1
- 著作権/法的表示:BIEM、Depósito Legal: B. 35247-1970
パーソネル
- Lucky Thompson – ソプラノサックス(A1–A3, B2, B3, B5)、テナーサックス(A4–B1, B4)
- Tete Montoliu – ピアノ
- Eric Peter – コントラバス
- Peer Wyboris – ドラムス
- ライナーノーツ:Alberto Mallofré
- フォト/スリーブデザイン:Luis Viñas
トラックリスト
- When Sunny Is Blue(作曲:Segal, Fisher) – 3:58
- Body And Soul(作曲:J. Green) – 4:19
- Spanyola(作曲:Lucky Thompson) – 3:50
- I Got It Bad(作曲:Duke Ellington) – 5:30
- Soul Carnival(作曲:Lucky Thompson) – 3:05
- Blues ‘N’ Boogie(作曲:Dizzy Gillespie) – 3:58
- Spanish Rails(作曲:Lucky Thompson) – 4:48
- What’s New(作曲:Haggart, Burke) – 5:17
- Soul’s Nite Out(作曲:Lucky Thompson) – 3:32
- The World Awakes(作曲:Lucky Thompson) – 4:00
録音:1970年5月1–2日、スペイン・バルセロナ
本作はEnsayoレーベルのジャズ・シリーズ第三弾としてリリースされました。
この盤特有のポイント・コレクター情報
- Lucky Thompsonによるスペイン録音作品で、渡欧後の活動を象徴する一作。当地バルセロナ録音は希少。
- ヨーロッパ・ジャズの巨匠ピアニストTete Montoliuが参加し、欧州ジャズ伝統とも融合したセッションを展開。
- ソプラノサックス/テナーサックスの持ち替え演奏が明確にクレジットされており、楽曲ごとのサウンドの違いを堪能可能。
- ラベル面やジャケット裏の製造・販売元・法的表示はスペイン国内仕様ならではであり、現地プレスならではのコレクター価値が生まれている。
- 音質はEnsayoレーベル他作同様、ヨーロッパ録音特有の柔らかさと一体感が特徴。録音環境はライブ的セッション感覚を色濃く反映。
- マトリクス記載(850 ENY 35✳A✳1/B✳1)により初期オリジナル盤判別が可能。
まとめ
『Soul’s Nite Out』(Ensayo ENY-35, 1971年スペイン盤)は、ラッキー・トンプソンが欧州に拠点を移した時期の代表作であり、多様なスタイルと円熟の演奏を堪能できる一枚です。スペイン専売盤として、地元録音/現地ジャズ人脈の貴重な記録としてコレクター/研究者から評価されています。
情報元Discogs URL:
私の持っている盤、Lucky Thompson Soul’s Nite Out ENY-35 オリジナル
基本的に、私はマンション住まいであまりレコードをしまうスペースがないので、購入するレコードはかなり厳選しています。
むしろ、買いすぎてスペースがなくて、状態はいいけれど、「いつでも買えるから」という理由でやむなく手放すことが多いです。
実際にそうして手放したレコードは、
こんなふうに、すごい値段をつけてくださるお店に送って査定してもらったりします。
本当は手放したくないんですけど、スペースの問題はいつまでも悩ましい問題です。
あれ?なんでこんなこと書いたんだっけか。
うーん、まぁ、とにかくだから、私のレコード棚には・・・あ、そうそう。
基本、私はレコードを集めるとき、5~60年代の、いわゆる「モダンジャズ全盛期」のレコードを中心に集めています。
それ以外のは、まぁ、いつかまた買えるだろうし、それほど値上がりもしないだろうから。
いわゆる、「あまりvangelderが関わっていない(であろう)」年代は後回しにしています。
だから当然。ご紹介する盤も、その5~60年代のvangelder刻印ありのセカンドなどが中心となるのですが、その中ではかなり珍しい部類に入る、70年代のレコード。
lucky thompsonと言われても知らない人も多いかもしれないし、知っていても、
「ああ、マイルスのwalkin’でテナーサックスを吹いていた人ね。」
くらいの記憶しかない人もいるかもしれません。
でも、私は大好きなテナーサックス奏者です。
といっても、最近まで私自身知りませんでした。
ラッキー・トンプソンのことを知ったのは、この村上春樹の番組から。
When Sunny Is Blue
Lucky Thompson
Soul’s Nite Out
Ensayo次はソプラノ・サックスです。ラッキー・トンプソンの演奏する“When Sunny Is Blue”「サニーがブルーになるとき」。もともとはテナーサックスの奏者で、たぶんジョン・コルトレーンの影響だと思うんだけど、60年代に入って、ソプラノ・サックスをよく演奏するようになりました。
バックをつとめるのはスペインの盲目のピアニスト、テテ・モントリューのトリオ。スペインのレコード会社のためにバルセロナで吹き込んだ曲です。トンプソンはどちらかといえば古いタイプのテナーサックス奏者ですが、60年代に入って、ソプラノ・サックスを積極的に演奏するようになってからは、はっとするような新鮮な演奏スタイルになって、独特なポジションを獲得していきました。とても個人的な演奏家ですね。一般的な人気はそんなにないけど、こっそり愛好するジャズ・ファンは多いかもしれません。これは僕が店をやっていたときに、よくかけていたレコードで、好きなんです。ここに店の名前「ピーターキャット」のスタンプが押してありますね。
(ほんとだ。貴重ですね。当時のスタンプが押してあります。感動… …)
レコードって結構もつものでしょう? 50年近く前のレコードなのにちゃんと聴ける。 村上RADIO - TOKYO FM 80.0MHz - 村上春樹この番組は、村上春樹史上初、自らがディレクターとなりテーマに合わせて選曲し、語ります!
この村上ラジオの番組で、知ってから、
「なんとかこのレコードがほしい!」
と血眼になって探したものです。
といっても、このレコードはあんがい、簡単に見つかって、富山かどこかのオンライン通販でレコードを販売していた店舗で、見つけ、初めて買う店だったのでかなり不安があったものの、2~3000円くらい?とやすかったので試しに購入。
恐る恐る開封すると、状態は完璧。
ということで、私にとっても愛聴盤となりました。
(その後、ちょくちょくディスクユニオンなどで見かけるようになりました。本当に「手に入れたあと」に簡単に見かけるというのはコレクターあるあるの悲しいサガですね)
・・・で、このブログをもし熱心に読んでくださっている方がいるとしたら、わかると思うのですが、なぜこのアルバムを紹介したか?
というと昨日からの系譜。
【興味を追い抜くスピード】Tete Montoliu Recordando A Line S4335 青ラベルセカンドバージョン
いわゆる、完全な「お見見直し」です。
大きな期待を抱いて聴いたtete montoliuの Recordando A Line。
だけど、期待に反して、残念ながら「手数」が多すぎて私の耳には合わなかった盤。
では、
「なんでこんなに一時期、tete motoliuにこだわっていたんだっけ?」
と思い返すと結局今回ご紹介する、「Soul’s Nite Out」が原因だったと気づく。
この、Soul’s Nite Outにおけるtete montoliu。最高なんです。
前回ご紹介した、Recordando A Lineとは打って変わって、ピアノの手数は少ない。いや、最適。
本当にこのレコードでのtete montoliuは、美しい旋律でラッキー・トンプソンを好サポートします。
これを聞いたら、
「もっとtete montoliuの演奏を聞いてみたい!」
と思うのは当然のことだとすら感じます。
しかし、いくつかtete montoluのレコードを買ってみたら、その違いに愕然とします。
果たして、サポートに回るとこんなに好演をするのか?それともラッキー・トンプソンが良い意味でtete montoliuを抑えてくれたのか?
他のバックに回ったアルバムを殆ど聞いたことがないので真偽の程は定かではありませんが・・・
でも、このアルバムは本当に美しいです。
私はどちらかというと、ソプラノソックスは好きではありません
甲高い音で鳴るサックスの音が、言い方悪いのですが耳障りに感じてしまいます。
だから、
【ソプラノが…】John Coltrane* – “Live” At The Village Vanguard AS10 RVG STEREO
ここでもコルトレーンのヴィレッジヴァンガードのアルバムが好きになれなかったことを語りました。
しかし、このLucky Thompson – Soul’s Nite Outにおいてのソプラノサックスは別。
すごく耳障りが良い。聞いていて心地よい。
もちろん、全編、全部が良いというわけではありませんが、すごく快適に聴き続けることができます。
中でも、what’s new。
この往年の名曲をソプラノサックスで美しく奏でる、ラッキー・トンプソンの演奏が最高です。
ラッキートンプソンの演奏よし、テテ・モントリューのサポートも抜群。
あまり話題に上がらない盤だと思いますが、個人的にはかなり好きなアルバムです。
比較的最近(といっても50年以上前ですが)のレコードのため、状態が良い盤が多く、買いやすく美しい。
オススメの盤です。
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