レコード買取価格表を見る前に！遺品整理のプロが教える「ゴミをお宝に変える」3つの真実

実家の片付けをしていると、押し入れの奥から出てくる大量のレコード。「重いし、カビ臭いし、プレイヤーもないから捨ててしまおうか……」と、途方に暮れていませんか？

実は、押し入れの奥から出てきた段ボールの中には、数万円、時には数十万円の価値がある「お宝」が眠っている可能性があります。

しかし、ここで一つだけ注意してください。インターネットで検索して出てくる「レコード買取価格表」を、そのまま信じてはいけません。価格表の金額と、実際の査定額には大きなギャップがあることがほとんどだからです。

この記事では、遺品整理の現場で20年間レコードを見続けてきた私が、プロしか知らない「本当の価値の見分け方」と、重いレコードを玄関から一歩も出さずに、最も高く、そして楽に現金化する方法をお伝えします。

こんにちは、田中 誠です。
遺品整理士であり、元大手レコード店バイヤーとして、これまで1,000件以上の現場で50万枚以上のレコードを見てきました。「思い出を適正価格で次世代に繋ぐ」ことを使命に、プロの視点から「本当の価値」をお伝えします。

なぜ「レコード買取価格表」の金額は、あなたの手元にある盤と違うのか？

👉 このパートをまとめると！
ネットの価格表は「完品・美品」が前提。帯の有無や状態による減額の現実を知ることが、失敗しない第一歩です。

インターネット上の買取価格表を見て、「このビートルズのレコード、20万円もするのか！」と期待に胸を膨らませる方は少なくありません。しかし、実際に査定に出してみると「数百円」あるいは「買取不可」と言われてしまうケースが後を絶ちません。

なぜ、このような残酷なギャップが生まれるのでしょうか。

最大の理由は、公開されている買取価格表のほとんどが、「新品同様（Mint）」かつ「付属品が全て揃っている（完品）」という、奇跡的なコンディションを前提としているからです。

レコードの査定において、「コンディション（盤質）」と「減額査定」は、切っても切り離せない密接な関係にあります。 日本の中古レコード市場は世界で最も品質基準が厳しいと言われており、わずかな傷、カビ、ジャケットのシミ一つで、査定額は容赦なく減額されます。

特に、遺品整理で出てくるレコードは、長年湿気の多い押し入れで保管されていたことが多く、カビや盤反りが発生しているケースが一般的です。価格表はあくまで「最高値」であり、そこから減点方式で実際の価値が決まるという現実を、まずは理解しておく必要があります。

素人でもできる！段ボールの中身を「ゴミ」と「お宝」に分ける3つの仕分けルール

👉 このパートをまとめると！
「帯（Obi）」の有無、ジャンル（シティポップ・洋楽ロック）、そして盤質。この3点を見るだけで、お宝の可能性が見えてきます。

では、専門知識がない一般の方が、大量のレコードの中から「売る価値のあるもの」を見分けるにはどうすればよいのでしょうか。実は、以下の3つのポイントを確認するだけで、お宝の可能性を簡易的に判断することができます。

1. 【最重要】帯（Obi）は捨てないで！

日本盤レコードの最大の特徴であり、査定額を決定づける最も重要なパーツが「帯（Obi）」です。

「レコード買取価格表」に掲載されている高額な金額は、基本的に「帯」が付いていることが絶対条件です。 例えば、ピンク・フロイドやレッド・ツェッペリンといった洋楽ロックの名盤では、帯があるだけで買取価格が10倍以上変わることも珍しくありません。

帯が破れていても、半分しか残っていなくても、決して捨てずにレコードと一緒に査定に出してください。

2. 【ジャンル】「シティポップ」と「昭和歌謡」

現在、世界的なブームにより、特定のジャンルのレコード価格が高騰しています。特に注目すべきは、山下達郎や竹内まりやに代表される「シティポップ」と、テレサ・テンなどの「昭和歌謡」です。

「シティポップ」や「ジャズ」といったジャンルが高額査定される背景には、海外需要の爆発的増加という明確な因果関係があります。 昔は数百円だったレコードが、今では数万円で取引されているケースも多々あります。ジャケットがお洒落なイラストだったり、漢字のタイトルが書かれたりしている盤は、要チェックです。

3. 【状態】掃除はしなくていい

「少しでも高く売りたい」という親心から、レコード盤をタオルでゴシゴシ拭いてしまう方がいらっしゃいますが、これは絶対にNGです。

素人が不適切な布で盤面を拭くと、細かい傷をつけてしまい、かえって価値を下げてしまいます。ホコリを軽く払う程度にとどめ、そのままの状態でプロに見せてください。

表：素人でもわかる「レコードお宝期待度チャート」

また、減額の目安として、以下の数字を頭の片隅に入れておいてください。

• 帯なし: 査定額から -50% 〜 -80%
• カビ・深い傷: 査定額から -30% 〜 買取不可
• 盤反り: ほとんどの場合 買取不可

重いレコードをどこで売る？「リサイクルショップ」vs「専門店」徹底比較

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近所のリサイクルショップはNG。大量のレコードを高く、楽に売るなら、専門店の「出張買取」か「宅配買取」一択です。

「仕分けはなんとなく分かったけれど、重い段ボールを運ぶのが面倒くさい……」
そう思って、近所の総合リサイクルショップに持ち込もうとしていませんか？

はっきり申し上げます。遺品整理で出てきた「大量のレコード」を売る際、最も避けるべき選択肢が「リサイクルショップへの持ち込み」であり、最も推奨される解決策が専門店の「出張買取」または「宅配買取」です。

なぜなら、総合リサイクルショップにはレコードの専門知識を持つ査定員が不在であることが多く、マニュアル通りの「重量査定（10枚で100円など）」になりがちだからです。

それぞれの売却方法の特徴を比較表にまとめました。

表：レコード売却チャネル別メリット・デメリット比較

遺品整理の現場では、「苦労してリサイクルショップに運んだのに、全部で500円にしかならなかった」という失敗談をよく耳にします。一方で、専門店に依頼すれば、「出張買取」なら査定員が自宅まで来てくれますし、「宅配買取」なら無料の段ボールキットに詰めて送るだけです。

もし、どうしても近くの店舗に持ち込みたいとお考えの場合は、事前にレコードの専門知識を持った査定員がいるかを確認することが重要です。

「遺品整理」とは、単なる不用品の処分ではなく、故人が愛した「文化の継承」でもあります。 価値のわかる専門店に託すことで、そのレコードは海を渡り、世界のどこかで待っている新しい持ち主の元へと届けられます。

よくある質問（FAQ）：カビ、大量処分、古い盤の悩み

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カビがあっても、ジャケットがなくても、まずは相談を。プロは「盤そのもの」の価値を見逃しません。

最後に、私が現場でよく受ける質問にお答えします。

Q. カビだらけでジャケットも汚れていますが、怒られませんか？

A. 全く問題ありません。そのまま送ってください。
プロの査定員は、ジャケットの汚れよりも「盤面の溝（音）」が生きてるかを重視します。カビがあっても、専用のクリーニングで復活できる場合も多いので、遠慮なく査定に出してください。

Q. プレイヤーがないので聴けません。動作確認は必要ですか？

A. 動作確認は不要です。
傷のチェックや試聴は、すべて専門店のスタッフが行います。無理に再生しようとして針で傷をつけてしまうリスクの方が高いため、何もしないのがベストです。

Q. どんな箱で送ればいいですか？

A. 多くの専門店が「無料の宅配キット」を用意しています。
レコードは非常に重く、底が抜けやすいため、スーパーの段ボールなどを流用するのは危険です。申し込み時に専用の段ボールを依頼すれば、無料で自宅に届けてくれる業者がほとんどです（例：エコストアレコードなど）。

まとめ：あなたのレコードは「ゴミ」ではありません

この記事のポイントを改めて整理します。

• ネットの価格表は「美品」が前提。 帯の有無や状態で価格は変わる。
• 「帯」「ジャンル（シティポップ等）」「そのままの状態」 の3つがお宝の条件。
• リサイクルショップは避け、専門店の「出張・宅配買取」 を利用する。

押し入れに眠っているそのレコードは、単なる「黒い円盤」ではありません。それは、昭和という時代を彩った音楽であり、世界の誰かが探し求めている「宝物」かもしれません。

「ゴミとして捨てる」という選択をする前に、ぜひ一度、プロの査定を受けてみてください。あなたの思い出が、適正な価格で評価され、次の世代へと受け継がれていくことを願っています。

参考文献リスト

• レコード高額買取リスト – セタガヤレコードセンター
• レコード買取ならエコストアレコード
• 生前整理・遺品整理で出てきたレコードは処分せず買取査定に出すのがおすすめ！ – バイセル
• Global Music Report – IFPI