予想外によかったアルバム。
音も演奏も良い。
中でも、クリフォード・ブラウンがよく感じる。
Sonny Rollins, Clifford Brown And Max Roach – 3 Giants!(Prestige PR 7291, 1964年USモノラル再発盤/青トライデントラベル)
盤仕様・特徴
- リリース年:1964年(録音:1956年3月22日、ニュージャージー州ハッケンサック・ヴァン・ゲルダー・スタジオ)
- レーベル:Prestige – PR 7291(ブルー・トライデント・ラベル表示。1960年代中期のモノラル再発仕様)
- フォーマット:LP, Album, Mono, Reissue(米国盤/オリジナルは1956年Prestige 7038『Sonny Rollins Plus 4』と同内容)
- レコード会社:Prestige Records Inc., U.S.A.
- 録音エンジニア:ルディ・ヴァン・ゲルダー(RVG刻印あり)
- スーパーバイザー:ボブ・ワインストック
- ジャケット:表面に「Mono」ステッカー貼付。背面は白地に黒文字の米国印刷ジャケット。
- マトリクス・ランアウト:
- サイドA:PRST-7291 A / RVG PRLP-7038 A PR 7291 A(手書き刻印)
- サイドB:RVG PRLP-7038 B PR 7291 B(手書き刻印)
- 印刷:Printed in U.S.A.
パーソネル
- ソニー・ロリンズ – テナーサックス
- クリフォード・ブラウン – トランペット
- マックス・ローチ – ドラムス
- ジョージ・モロウ – ベース
- リッチー・パウエル – ピアノ
トラックリスト
- Valse Hot(作曲:ソニー・ロリンズ)
- Kiss And Run(作曲:サム・コスロー)
- I Feel A Song Coming On(作曲:ジミー・マクヒュー)
- Count Your Blessings(作曲:アーヴィング・バーリン)
- Pent-Up House(作曲:ソニー・ロリンズ)
録音:1956年3月22日、ヴァン・ゲルダー・スタジオ(ハッケンサック、ニュージャージー)
オリジナル音源はPrestige 7038『Sonny Rollins Plus 4』に準じる。
この盤特有のポイント・コレクター情報
- ブルー・トライデント・ラベルは1960年代Prestige再発盤に見られる特徴で、オリジナル黄レーベル深溝盤に比べ音質はややモダンな帯域バランス。
- マトリクスに「RVG」刻印を有し、オリジナル同様ヴァン・ゲルダーによるマスタリング品質を保持。
- この再発盤は「Mono」ステッカー付きカバーで登場し、一部はステレオ盤PRST品番と混在して流通。
- 録音はロリンズとブラウン、ローチによる「Plus 4」期の代表作。即興構築性の高さとブラウン=ロリンズの対話的アドリブが特徴。
- 損失の少ないアナログ・モノラル録音で、当時のPrestigeらしい温潤かつ芯の通った音質を体感できる再発仕様。
まとめ
『3 Giants!』(Prestige PR 7291, 1964年USモノラル再発盤)は、ソニー・ロリンズ、クリフォード・ブラウン、マックス・ローチという三者の黄金期を刻んだハードバップ重要記録。1956年の名演を再構成した再発盤ながら、オリジナル同様のRVGサウンドを保持することで高い資料的価値を有するタイトルである。
情報元Discogs URL:
私の持っている盤、Sonny Rollins Clifford Brown And Max Roach 3 Giants! PR7291 1964年USモノラル再発盤 右紺 RVG prlp7038刻印
正直な話をすると、このアルバムは入手した当初、あまり期待していませんでした。
というのも、入手した経緯は、たまたま見ていたディスクユニオン。
1週間くらい前でしょうか。
ディスクユニオンのオンラインショップを眺めていたときに、このPR7291のRVG刻印つきのバージョンがなんと1100円で販売されていました。
もちろん両面刻印付き。グレーディングがVG++だったので、その点だけが心配だったのですが、まぁ「1100円なら・・・」ということでポチってしまいました。
そうして届いたのが一昨日でようやく昨日聞いてみたという経緯。
しかしまぁ、これが1100円で手に入るなら十分。
この時期の、プレスティッジ盤によくある「ステレオ」と言いながら、「実際に流れてくるのはモノラル」ではなくて(それでも十分モノラルとして楽しめるんだけど)、本物、正真正銘のモノラル盤。
やっぱりなんとなくですけど、ソッチのほうがいいんですよね。
で、実際に昨日聞いてみる手筈になったんですけど、
だけど、ちょっと訊く前にハードルを下げるようなことがいくつかありました。
まずは新宿ジャズ談義。
盤全体を改めて聞いたが、やはり、特段いいとは思えなかった。ロリンズのリーダー作とはなっているが、プレスティッジがロリンズ名義でローチ=ブラウンを録音した盤と考える。
Clifford Brown サイド作ライブや歌伴などにも重要作が多いブラウニーのサイド参加作CDを紹介
あれ?マジで?
と思ってしまった。
他にも、
そのロリンズは、ドラッグを絶つために表舞台からは身を引いていた時期ですが、ハロルド・ランドが家庭の事情でグループを離れることになったことで、ブラウンの依頼によりランドの代役としてここに参加しています。
ソニー・ロリンズ・プラス4 - あしたのブログ!趣味や日々の報告ページソニー・ロリンズが、クリフォード・ブラウン・グループのメンバーを伴って録音したアルバムですが、掲載したのは再発盤で、ジャケットの図柄もオリジナル盤とは異なります。「SONNYROLLINSPLUS4」PRESTIGE70381.VALSEH...
あれ?代役で参加した程度のアルバムなの?
と一抹の不安を抱いたり。
このアルバムは いちど聴いただけでは本当の良さがわからない…わかりにくい作品です。
たとえば 「Kiss And Run」 でのブラウニーのソロ。音がつぎつぎと紡ぎ出されてくる
のだけれど、あまり楽しくない、と感じていました。 もうひとつリーチー・パウエルの
ピアノが少し弱い。 Sonny Rollins Plus 4 - Jazz Classic Audio Lifeジャズ、クラシック、オーディオの想いを日々綴ります。 ブログ内で お探しのキーワードを右の枠に入力して GO ⇒
こうした意見もあり、ちょっと「やっちまったかな・・・」という不安がよぎり始めました。
他にも、いろいろ、ちょっと否定的な意見がネット上にあった気がして不安を抱いてみたら、やっぱりこういうのって、百聞は一見にしかず・・・じゃなくて、百聞は一聴にしかずですね。
実際に聞いてみたら、すごく良い。
確かに、バド・パウエルの実弟、リッチー・パウエルのピアノが少し弱い気がする、というのは感じる。
なんだか、ちょっと自信なさげというか、おぼろげなメロディラインで少し聞いていて不安になる感じもある。
だけど、ソニー・ロリンズとクリフォード・ブラウン演奏がすごく良い。
そして、マックス・ローチは下手をすると、「出しゃばりすぎる嫌い」があると私は感じているのですが、(そういう意味ではアート・ブレイキーも同じ)このアルバムではそこまで出しゃばっている感じがしない。抑えめなローチが良い。
何より、この年は1956年。かの有名な、サキソフォン・コロッサスが録音されたのと同じ年。
サキコロの少し前に録音されたアルバム。
つまりロリンズの絶頂期と言っていいのではないでしょうか(一部不調だったとの声もあるようですが)
実際に聞いてみての感想
前置きが長くなりましたが、実際に聞いてみて。
そうした前評判を覆すほど、良いアルバムだと感じました。
まず何より音が良い。
スタンパーが、PR7291の刻印もあるものの、その隣に、オリジナルのスタンパーであるPRLP7038の刻印もあるから。
たぶん、論理的には同じ音がするはずなんだと思う。
この記事で言いたかったことは、オリジナルのPrestige盤のマザーディスクが使い回されているので、セカンドのNew Jazz盤もオリジナルと同じ音がするはずだ、ということでした。
厳密にはビニール材質の影響も受けるので、マザーディスクが同じなら、オリジナルとセカンドが必ず同じ音質になるとは限りませんが、新聞や本の印刷の場合、版が違っても個体差がほとんどないのと同様に、レコードも同じものができるという理屈です。
『Ray Bryant』Ray Bryant Trio(New Jazz NJLP8227)12inchNew Jazzのレイ・ブライアント?ヘンですよね。オリジナルはPrestig…
上記のように書かれているように。
実際そうした、論理的な話は正直、未だに理解できないのですが、とにかく音が良い。
例えば、サキコロなんかは、以前完全オリジナルを持っていたのですが、状態が悪かったので手放して、今持っているのは紺色バージョン。
状態が良いので気に入っているのですが、音の迫力なんかはやっぱりオリジナルの黄黒色ラベルのバージョンのほうが良かった。
でも、このPR7291バージョンは、「ひょっとして、オリジナルと遜色ないんじゃないか?」と思いたくなるほど音の迫力、厚みが十分にある。
とにかく音質が良く素晴らしい。
しかも、RVG刻印もスタンプじゃなくて「手書き」なので結構初期の盤であることが伺えます。
なんだか、デスマス調がおかしくなってしまいましたが、とにかく、音が良いです。
あとは、クリフォード・ブラウンがなにげに良い。
私は、クリフォード・ブラウンのトランペット好きではあるんですけど、嫌いでもある。
例えば、アート・ブレイキーのバードランドの夜では響きは好きなんだけど、ちょっと手数が多すぎる。
スタディ・イン・ブラウンも好きなんだけど、ちょっとノリが良すぎてあまり好きになれない。
正確に言うと、ローチとの双頭コンボのときのブラウンがあまり好きになれない。
のですが、このソニーロリンズとの共演アルバムにおいては、「ちょうどよい」んです。
クリフォード・ブラウンのトランペットがちょうどよく、美しい響きで聴かせてくれます。
それに負けず劣らず、ソニー・ロリンズも良い。
確かに、サキソフォン・コロッサスのときほどの好調ぶりは見られないものの、どちらかというと「ワークタイム」のときに近いような(確かワークタイムのほうが・・・あ、ワークタイムの録音が1955年12月で、このplus4が1956年3月なのでほとんど時期一緒ですね。どうりで。)感じの演奏。
とても良い。
とにかく、音良し、演奏良しの好アルバム。
加えて、状態良しでRVG刻印ありならこれまた迷わずおすすめしたいアルバムです。
私はとても好きなアルバムだと感じました。
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