やはり最強クインテット。
しかし、4部作の中ではやはり、この2曲めが少しネックになっている気がする。
The Miles Davis Quintet – Cookin’ With The Miles Davis Quintet(Prestige PRLP 7094, 1957年USモノラルDeep Groove盤)
盤仕様・特徴
- リリース年:1957年(録音:1956年10月26日、ニュージャージー州ハッケンサック、ルディ・ヴァン・ゲルダー自宅スタジオ)
- レーベル:Prestige Records – PRLP 7094(“Fireworks”ロゴ・ラベル、ディープグルーヴ(深溝)仕様)
- フォーマット:LP, アルバム, モノラル(USオリジナルは「446 West 50th Street, New York 19, N.Y.」表記ジャケット)
- ジャケット:楽器・トランペットの口径を正面から描いた象徴的なイラスト。裏面には「Printed and Packaged by GEM Albums, Inc., N.Y.」の記載あり
- マスター:ルディ・ヴァン・ゲルダー(RVG)カッティング、ラッカー刻印あり
- プレス:Abbey Record Manufacturing 工場ID(手彫りで“AB”刻印)
- マトリクス・ランアウト:
- サイドA:PRLP-7094-A
- サイドB:PRLP-7094-B
- その他:Prestige第1期マラソン・セッション4部作の一枚
パーソネル
- Miles Davis – トランペット
- John Coltrane – テナーサックス
- Red Garland – ピアノ
- Paul Chambers – ベース
- Philly Joe Jones – ドラムス
トラックリスト
- My Funny Valentine(Richard Rodgers 作曲)
- Blues By Five(Miles Davis 作曲)
- Airegin(Sonny Rollins 作曲)
- Tune Up / When Lights Are Low(Tune Up: Miles Davis作曲、When Lights Are Low: Benny Carter作曲)
録音:1956年10月26日、ルディ・ヴァン・ゲルダースタジオ(ニュージャージー州ハッケンサック)
Prestige「マラソン・セッション」の最初のリリース盤
この盤特有のポイント・コレクター情報
- Prestige Fireworksラベルとディープグルーヴ仕様は初期USオリジナルの識別ポイント。盤・ラベルのアドレス表記や刻印で識別する。
- 「マラソン・セッション」と呼ばれる2日の録音から誕生。契約消化のため、ライブ感そのままのワンテイク重視で一気に録音されたことで知られる。
- 「My Funny Valentine」は初演テイク。以降マイルスの代表レパートリーとなる。
- 後年も幾度も再発・リイシューされているが、初期盤は厚みのある独特の音質とコレクション価値の高さがある。
- コルトレーンらフロント陣のソロに加え、ガーランドやチェンバースのサポート含めてモダンジャズ黄金の布陣。
まとめ
The Miles Davis Quintet – Cookin’ With The Miles Davis Quintet(Prestige PRLP 7094, 1957年USモノラルDG盤) は、Miles Davis Quintetが残した偉大な「マラソン・セッション」四部作の中核として、硬派なバップ路線・即興と洗練美のバランスを体現したモダン・ジャズ史の重要盤です。
情報元Discogs URL:
私の持っている盤、The Miles Davis Cookin’ PRLP 7094 DG たぶんオリジナル
多くのジャズコレクターが求めてなかなか手に入れられないマイルスの黄金4部作の一枚、cookin’。
マイルスの黄金4部作といえば、
cookin’
workin’
steamin’
relaxin’
とあります。
こちらは、
【なんでこの盤残ってるの?】Miles Davis Diggin’ With The Miles Davis Sextet prlp7281 NJ 手書きRVG(PRLP7012刻印消し)
制作会社がそれにもして作った、別物。
基本的にはこの4部作が、メインとされていて、チェットの、〇〇ingシリーズはこれを模して作られたものと言われています。
マイルス黄金4部作の中でも「入手困難」とされているのが、このcookin’とrelaxin’です。
確かに、私自身、relaxin’の入手はかなり苦労しました。
なかなか出品されない。
出品されてもすぐに売り切れてしまう。
ということで、なかなか手に入れられなかったのですが、
こちらで書いたようにたまたまオンラインショップで入手できたときはラッキーと感じました。
しかもrelaxin’は本当に素晴らしい逸品。
でもコレクターあるあるかもしれませんが、relaxin’をは入手してからちょくちょくオンラインショップで見かけるようになりました。正確にはRVG付きの右紺とかでしたが。
それでも、持っていなかったらそれで十分だと思います。
で、話はそれましたが、このcookin’もそのrelaxin’と近いレベルで入手困難だと言われています。
しかし、私は幸運なことに、ジャズレコードコレクションをはじめて比較的早い段階。2~3年くらい?の段階でこの盤を入手することができました。
まぁ、私の入手経由なんてどうでもいいことかもしれませんが、簡単に。
たまたま、ディスクユニオンセカンドハンズ店(現新宿中古センター)にふらっと立ち寄ったら、壁にこのmiles davis cookin’が並んでいました。
もうかれこれ6~7年くらい前の話。
一瞬、壁に並んでいるそれを見て、ピタッと立ち止まりました。
「うん?マイルスのクッキン、RVG盤が5,000円?」
そう。
その壁に立てかけられていたcookin’の価格は衝撃的な5,000円台でした。
「うーん、傷物か、そうでなければサード以降か・・・」
当時の私はまだセカンドコレクターではなかったため、
「オリジナルでないものには興味はない」
と思っていました。
そのため、いくらそこに5,000円と安く並べられていても、おそらくサード以降では買わなかったでしょう。(厳密には今だって、サード以降で5,000円だったら高いけど)
で、試しに手にとって試聴をしてみる。
盤面を取り出してみたら、黄色レーベル。
傷物かな?
と思ったけど、確かに傷はあるけれどそれほど目立つものではない気がする。
DGもある。
しかもレーベルの印字は「NEW YORK」。
ご存知のように、レーベルが、「NJ」となっているものはセカンドバージョンです。
が、私が手に取った盤はN.Y.Cのオリジナルかそれに近いバージョン。
「ん?なんでこれが、5,000円なんだ?」
試聴してみてもそれほど問題はない。
というか、5,000円でオリジナルかそれに近いのが買えるなら、大満足。
ということで、購入してみました。
家に帰って聴いてみても、それほど問題はなく、とても良い買い物ができました。
今考えると、たぶん、誰かが取り置きかなんかしていたものがキャンセルされたか、誰かが返品した分かなにかなのかもしれません。
とにかく、そんなこんなでたまたま立ち寄ったディスクユニオンの壁にかけられていたcookin’のオリジナルかそれに近いものを格安で入手できました。
ちなみに、ジャケットの条件か、エッジの条件か何かで確か購入したその当時のプライスカードには「オリジナル」ではなくて「US盤」と書かれていた気がします。
でもかなりオリジナルに近いプレスをこの価格で買えたのは本当にラッキーでした。
コレクターをやっているとたまに、こうした「とんでもない巡り会い」があるからやめられないんですよね。
そして多くのコレクターがそのまま泥沼に落ちていく・・・
で、昨日。
久しぶりに聞いてみましたが・・・
キズに関しては、思ったよりA面は目立ちました。
周回ノイズがちょくちょくと。
だけど、まぁ、ギリギリな範囲。
ぎりぎり許せる範囲と言えるでしょうか。
まぁ、これで5,000円台だったらわざわざ買い直す必要はないでしょう。
音に関しては、やはりさすがRVG、NYC、ほぼオリジナルに近いものだけあって、音質は圧巻。
ボリュームを上げると大音量になってしまうので、かなり音量を絞って聴いていましたが、それでも十分マイルスやコルトレーンの圧巻の演奏を楽しむことができます。
しかし、ここでのマイルス。
やはりすごいです。
私は音楽はギター以外やったことがないので、ほとんど音楽的なことはわかりませんが、このマイルスのトランペットの「独創性」にはしてやられます。
フレージングなど、圧巻で、ここまで凄まじいトランペットを美しい旋律で奏でるマイルスにぞっこん。
こんな演奏、目の前でされたらどんな女性でもイチコロだろうなと感じるほど、美しい。
どうもマイルスのトランペットはもう、世間的に「当たり前」とされすぎていて、ジャズレコードコレクターとしては、どうしてもマイルスは「今更感」があってあまり聴かなかったりしますが、やはり帝王の帝王たる所以をここぞとばかりに見せつけられる演奏です。
有名なトランペッターとしては他にも、リー・モーガンやフレディー・ハバード、クリフォード・ブラウンなどがいますが、すべての「原点」にこのマイルスがいるというのがわかる、本当に美しい演奏です。
そこに、まだ成長途中と言われるコルトレーンのこれまた圧巻で豪快な、それでいて美しいテナーサックスが入り、これまた世界観を展開してくれます。
1曲目のマイ・ファニー・ヴァレンタインから本当に美しい、圧倒的な演奏が展開されるアルバムです。
ただし、気になるのがやはり2曲目を含むドタバタ感。新宿ジャズ談義でも書かれているように、
理由は冒頭のmy funny valentineがリリシズムの極地のような美しさに反して、それ以外の曲がバタバタとうるさすぎるほど元気すぎる点にある。もちろん演奏が優れている事は理解できるのだが、あくまでも私の好みはそうなのだ。
Miles Davis マイルス・デイビス CDレビュー リーダー作 ③プレステッジの「ING」四部作のマラソン・セッションに始まり、メジャーのコロンビアに移籍しお金のかかるギル・エバンス・オーケストラとの共演盤や、仏映画「死刑台のエレベーター」、キャノンボール名義の「サムシン・エルス」、モードを取り入れた「マ...
そうなんですよね。
顕著なのが2曲目で、あまりにも美しすぎる1曲目のマイ・ファニー・ヴァレンタインに比べて、その後の、Blues By Fiveから早めのテンポの曲が中心。
曲そのものや美しさなどに注目するとこのアルバム、ちょっと評価を落とすのですが、少し視点を変えて、マイルスの「トランペット」に注目すると、いかにマイルスが「絶頂期」だったかがよくわかる、激しい独創性に圧巻される一枚だと思います。
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